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「っ、ぇ…………?」
英語は得意なのに、その言葉の意味がわからない。
熱くなり始めてた体は否定されたことにより一気に冷め、寧ろ小刻みに震えてしまう。
シルクハットの下から出てきたのは白毛混りの綺麗な銀髪と年相応の顔、青色の瞳。
顔を上げると、顔のシワをより濃くしながら口を開いた。
『私もね、懸命に探したんだよ。運命の番を』
若い頃、それはそれは必死に探した。
もしかしたらこの国にはいないんじゃないかって、様々な国を旅して、駆けずり回って……
『でも、どんなに探しても見つけることは出来なかった。ハハッ、今思えば当たり前だったな。だって君と私はこんなにも年の差があるんだ。私の番は…まだ生まれてさえいなかったのか……
だが、そんなこと知るはずがない私は、当時本当に君を探し回っていた。
ーーそんな時、ひとりの人と出会い 恋に落ちたんだ』
分かっている、これは運命ではない。
だが……どうしようもなく惹かれて、愛しくて愛しくて堪らなくて。
『〝運命などどうでもいい〟と思える程に、愛してしまった』
「ーーっ、」
『君を否定するような言い方をして、本当に申し訳ない。だが、君にだけは嘘を吐きたくないんだ』
運命の番がそうさせてるのだろうか?
包み隠さず真摯に話してくれて、僕も紡がれる言葉を五感全てで受け止めてて。
『その、人とは……今も一緒に?』
『あぁ。随分前に結婚している』
『そ…だったんです、ね……』
目の前がグラリと揺れた。
これは、現実?
こういう時ってどうすればいいんだっけ。
出会えて嬉しい筈なのに、酷く裏切られたかのようなこの感覚はーー
『一般的に我々バース性は運命に勝てない。
だから例え結婚していようとも、出会ってしまえばそちらへ行くか扶養内に入れるかしてαが養うのが普通だ。
……でもね、私はそれをどうしてもしたくはないんだ』
『っ、どうして……!』
『君のことが、大切だから』
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