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結ばれた春編2

「うれしくて……。倫太郎さんが、優しいから……」 「当たり前だろ」 倫太郎は悠太の頭を引き寄せた。悠太は素直に倫太郎の腕の中におさまる。 「俺が、悠太のことを傷つけるわけないだろ」 「うん……俺も、倫太郎さんのことを大切にしたい。……ねえ、倫太郎さん」 「ん?」 「キスしてもいいですか?」 「いいよ」 悠太は倫太郎の頬を両手で包んだ。 ふたりは唇をかさねた。それは、抱き合う合図のようなキスだった。 息を弾ませながら、互いの服を脱がせた。 (こうして見ると、悠太ってたくましいな……) 服越しに抱きしめられたことは何度もある。悠太の胸板は意外と厚いと、倫太郎は思っていた。 何も着ていない悠太の筋肉の稜線に目を奪われてしまう。同じ男なのに、ちがう体。 ふたりで出かけて雨に降られ、いっしょに浴室に入ったことがある。 あのとき初めて悠太の裸を見た。じっくり見るのはよくないと、なるべく目をそらしていたあの日。 今夜はちがう。悠太の体を、倫太郎は全身で味わうことができる。 ベッドに横たわり、何度もくちづけを交わす。何もまとわずにシーツの肌触りを感じるのは、新鮮だった。 抱き合えば、さまざまなことがあらわになっていくだろう。 ふれられると気持ちいい、恥ずかしいところ。ずっとさわりたかった、相手の秘められたところ。 恥じらう顔、戸惑いの声。自分でも知らなかった姿を知るかもしれない。 薄布をめくるようにゆっくりと秘密を教え合う、長い夜になるだろう。 まだ体験したことのない快楽を思うと、倫太郎の鼓動は速くなった。 ふたりはほとんど言葉を口にしなかった。 悠太は遠慮がちに、倫太郎の肌に指を滑らせる。倫太郎もふれようとしたら、悠太は体を震わせた。目が合うと、悠太は笑みを浮かべた。 もっとさわってほしいと言わんばかりに、悠太は倫太郎の手を導いた。 倫太郎は好きなように悠太の肌を辿った。 思った通り、悠太の体が描くラインは、鍛えた男が持つものだった。 この悠太の体なら、きっと雄々しく抱いてくれるだろう。その様子を思い浮かべながら、倫太郎は悠太の肌を撫でた。 悠太も倫太郎の肌を楽しむように、手を動かしていく。 悠太の手は熱かった。悠太にさわられたところが、灯りがともるように熱を帯びる。自分の肌ではないような気がした。 倫太郎の体はわかっている。生きるものの本能としてわかっている。 愛しい人とひとつになれる。倫太郎はこの日を待ち望んでいた。 悠太が倫太郎の下腹部を撫でている。その手は下へ、下へといく。倫太郎は悠太を見た。悠太は倫太郎を見つめていた。 熱っぽい眼差しだった。 その瞳の奥にある情欲を、倫太郎は感じ取った。 倫太郎は何も言わなかった。了承ととったのだろう、悠太の指が更に大胆に動いていく。 悠太はゆっくり、ゆっくりと、倫太郎の秘所に指を進めた。しばらく中で動かしたあと指を抜く。 悠太は自らのものにゴムをつけている。その様子を、倫太郎は眺めた。 (えらいな、ちゃんと用意して) 服を脱いだときに悠太は、「買ってきてあるから、安心して」と言っていた。 悠太は、自分のものを倫太郎の窄まりに宛てがう。 悠太のものがふれた瞬間、倫太郎は身を震わせた。自分でも思いもよらなかった反応だった。 「気にしないで……ちょっと、どきどきしちゃって」 「俺も同じです」 悠太は恥ずかしそうに笑った。 素肌でふれあい、唇をかさねるだけではわからなかった昂りを倫太郎は知った。けれど、そんなのはちいさな刺激だろう。これから体験することに比べたら。

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