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結ばれた春編3
もうすぐ悠太に抱かれる。経験したら、知らなかった頃の自分には戻れない。
いま、倫太郎は帰れない道を登っている。
「挿れますよ……」
「……うん」
倫太郎はうなずいた。悠太は腰を進める。
切っ先が中に入った瞬間、倫太郎は唇を噛んだ。
男の倫太郎が迎えられるものではない。反射的に悠太を拒んだ。
それでも倫太郎は、悠太が欲しかった。息を吐いて、力を抜く。
悠太は少しずつ、少しずつ、中を進む。
「痛い?」
悠太と目が合うと、倫太郎は精いっぱい笑おうとした。
「ん、痛くないよ……」
倫太郎は額に汗を滲ませる。悠太は倫太郎の汗を拭った。
「全部、入った……」
ふたりは深く繋がった。倫太郎は静かに呼吸した。合わさったところが引き攣ったような痛みがある。
(痛いなんて、言っちゃいけないよな……)
「動いていい?」
悠太の言葉に、倫太郎はうなずく。悠太は徐々に動きはじめた。
倫太郎は眉根を寄せて、痛みに耐えた。
引き抜かれた瞬間、倫太郎の中は引き留めるような動きをした。差し込まれるときは、従順に悠太を受け入れた。
体は抱かれることにすぐに順応したのに、抉られるような痛みは続いた。
それでも、悠太の視線に気づくと、倫太郎は何度もうなずいた。
きっとこれが抱かれること。そう思い、倫太郎は悠太を受け止めた。
悠太とひとつになっている。それだけで倫太郎は幸せを感じた。
やがて、悠太は少しずつ早く腰を動かす。
「あ……っ」
倫太郎が声をあげると、悠太の動きが止まった。
「苦しいですか……?」
「ちが……、そこ……いい」
一点を突かれると、腹の中が一層熱くなった。
「ここがいいの?」
「うん……」
「ここ、ですね……」
悠太は再び抽挿を開始する。
「あ……あ、ゆう……た……ぁ」
倫太郎の口から甘い吐息が漏れる。悠太は倫太郎の反応を見ながら動く。
倫太郎は悠太の背に腕をまわす。悠太も倫太郎をきつく抱き締めた。
「あ、あ、あ」
感じるところを何度も擦られて、倫太郎の喘ぎが大きくなる。
(すごい……)
何も知らなかった体には、強すぎる悦楽の波だった。悶えても、悶えても、絶え間なく押し寄せてくる。
身をくねらせて、倫太郎は快感に身を委ねた。
その諦めを待っていたかのように、悠太は倫太郎を強く抱いた。倫太郎は悠太の耳元でささやいた。
「悠太……好き……」
「倫太郎さん……俺も……好きです」
悠太が倫太郎にキスをする。倫太郎は舌を絡めようとしたが、うまくできなかった。
悠太が与えてくれる刺激に溺れていた。
「あ……あ、ん、あぁ」
「倫太郎さん……倫太郎、さん……」
悠太は腰を打ちつける。倫太郎の身体が大きく跳ねる。
(もうすぐ終わる……)
悠太と繋がっているところが熱い。全身が溶けてしまいそうだ。
「……いく……いきそう……」
「俺も……いきそうです」
「あ……、あ、ああ……」
「倫太郎さん……!」
倫太郎の背中が弓なりに反る。悠太は倫太郎の最奥を突き上げた。
「あ……ああ……あ……」
倫太郎が小刻みに痙攣する。その締めつけに耐えられなかったのか、悠太は達した。
「はあ……」
悠太は大きく呼吸をして倫太郎の上に倒れ込む。
「……気持ちいい……」
「……ああ」
(……俺、抱かれたんだ……悠太に)
倫太郎は悠太の髪を撫でた。
悠太は倫太郎にキスをする。倫太郎は目を閉じて、くちづけを返した。
――――――――――
(なんだろう……)
悠太は目を覚ました。
(なんか、ふわふわしてる)
夢見心地というのだろうか。
(俺、寝ちゃってたのか?)
昨日、倫太郎の家に泊まった。悠太は寝返りを打つ。すると、すぐ近くに倫太郎が後ろ向きで寝ていた。
(あ……そうだ! 俺、倫太郎さんを抱いたあと、疲れてそのまま寝たんだった)
悠太は自分の服装を確認する。パジャマを着ていた。
(倫太郎さんが着替えさせてくれたのかな?)
悠太も倫太郎も裸のままだったのに。
(……倫太郎さん)
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