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結ばれた春編4

悠太はそっと手を伸ばした。倫太郎が起きないように、優しく抱きしめた。 (あったかい……) 倫太郎の体温を感じる。心臓の音も聞こえる。悠太は倫太郎の背中に頬を押しつけた。 (昨夜の倫太郎さん、すごく熱かった……あれが抱くってことなんだ) 胸がどきどきする。倫太郎を初めてを奪ってしまった。 (倫太郎さん、かわいかったな……) 甘い声、震える体、熱い眼差し。昨夜の倫太郎は、いろんな姿を悠太に見せてくれた。 (抱かれている倫太郎さん……かわいくて……すごく、綺麗だった……) 思い出すと、下半身が反応してしまう。 (ダメだ。こんなこと考えてたら、また勃ってしまう) 悠太は倫太郎から離れて深呼吸した。 「ん……おはよう、悠太」 倫太郎が寝返りを打って、目を擦っている。 「お、おはようございます!」 悠太は慌てて挨拶した。 「どうした?」 「いえ……」 (さっきまで倫太郎さんのこと考えていたなんて言えない) 「朝ごはん、食べようか」 「はい!」 倫太郎が起き上がり、ベッドから出ると、悠太も続いた。 「……うわ」 「倫太郎さん!?」 よろめいた倫太郎を悠太が支えた。 「ありがとう……なんか、足に力が入らなくて」 倫太郎の顔が赤い。目は潤んでいるし、息遣いも荒い。明らかに様子がおかしい。 「風邪ですかね?」 悠太は額に手を当てようとしたのだが……。 「待って!」 倫太郎は悠太の手を振り払うと、「触らないでくれ」と言った。 ―――――――――― 「すみません……」 悠太は申し訳なさそうな顔をして謝った。 「俺、余計なことしましたよね」 「違う。そういう意味じゃなく……」 倫太郎は首を横に振る。 「ちょっと、恥ずかしくて……」 「え……」 悠太は驚いている。 (そうだよな……。急に、そんなこと言われたら驚くよな) 倫太郎は自分の発言を取り消すように言った。 「なんでもないよ」 「そうですか……」 悠太は少しだけほっとした表情を見せた。 (抱かれた余韻で体が火照ってるなんて、恥ずかしくて言えない……) 「……とにかく、朝食を作ろう」 「はい」 ふたりはキッチンへ向かった。 「今日は俺に任せてください」 悠太は料理が得意だ。倫太郎もある程度できるが、悠太には敵わない。 「何を作るんだ?」 「フレンチトーストにしようと思います」 「悠太は料理上手いよな」 「ありがとうございます」 悠太が卵を割る。慣れた手つきでかき混ぜる。そして、牛乳を注ぐ。フライパンを温める。バターを入れる。砂糖を入れて、よく溶かす。 悠太がフライパンを振ると、甘い香りが漂ってきた。 「いい匂い」 「美味しいですよ」 悠太は手際良く調理を進める。あっという間に、フレンチトーストが完成した。 リビングの小さな低いテーブルに、隣同士に座った。 「いただきます」 「召し上がれ」 倫太郎は一口食べる。 「うん。美味しい」 「よかった」 悠太はうれしそうに笑みを浮かべた。 思わず見惚れてしまう。爽やかな男だなと、改めて思った。 (最近、落ち着いてきたな、悠太……) 高校生とは思えないほどだ。 (かわいいときもあるけど、大人に見えるときが増えたなあ) 恋人の成長を日々感じる。 頼もしいけれど、ちょっと寂しかった。 「悠太はいい子だな」 「いきなりなんですか?」 悠太は笑った。 「悠太みたいにいい子が恋人だと、安心する」 「俺は、倫太郎さんみたいな人になりたいです」 「どうして?」 「だって、優しいし、強いし……憧れるなって方が無理です」 悠太の言葉を聞いた倫太郎は、思わず吹き出した。 「倫太郎さん?」 「いや、なんか、悠太らしいなと思って」 「そうですか?」 「うん」 倫太郎は微笑むと、悠太の頭を撫でた。 「あの……倫太郎さん」 「なんだ?」 「ひとつお願いがあるんですけど……」 「言ってみな」 「抱きしめてもいいですか?」

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