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和樹Side 3

自転車を走らせること15分程。見慣れた景色が見えてくる。 街灯の少ない裏路地にポツンとある小さな公園。そこがいつもの練習場だった。 入り口の脇に自転車を止めて公園内に入ると、案の定人影はなく、静まり返った夜の闇が広がっている。 この季節になると昼間は暖かいが、夜は冷え込んでくるので長居はできない。 さっさと着替えを済ませ、一つ一つのモーションを思い出しながらドリブルやシュートの練習をして、うっすら汗をかき始めた頃、公園の反対側からこちらに向かってくる人影が見えた。 こんな時間に人が来るなんて珍しいな。そう思って何気なく目で追う。 スラリとした長身の男が、千鳥足の男に肩を貸しながら歩いている。 なんだ、ただの酔っぱらいか……。 「たく、ちゃんと歩けよ透。……重いんだよお前」 「へへ、アキラぁ……おんぶ」 「はぁっ!? ふざけんな、ちゃんと歩けってば」 再びボールをつき始めると、ふと、聞き覚えのある声が耳に響いた。 驚いて二人の顔をよく見るとべろべろに酔った男の顔が視界に入った。 「えっ……」 ドクンと心臓が大きく跳ね上がる。 あれは―――。 「アキラセンセーと……、マッスー?」 一瞬、見間違いかとも思った。しかし、自分が透の事を見間違えるはずが無い。 なんでこんな所に居るのかと動揺し、手元からボールが抜け落ちてコロコロと男の足元まで転がっていく。 「ん? なんだ? バスケットボール?」 「す、すみませ――っ、って、やっぱりアキラセンセーじゃん」 慌てて駆け寄り、拾い上げようと屈んだところでもう一人の相手がアキラで間違いないと確信した。 という事は、やっぱりこの酔っぱらいは……。

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