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透SIDE 頭痛の種

あぁ、頭が痛い。 翌日、透は二日酔いに悩まされていた。午前中は何とか乗り切ったものの込み上げてくる気持ち悪さに思わず、はぁ、とため息が洩れる。 とはいえ、空腹は余計に気持ちが悪くなってしまうため、何か腹に入れようと食堂へと足を運んだ。 いつもならカツ丼定食を頼みたいところだが今日はとてもじゃないが無理そうで、仕方なく胃に優しそうな素うどんを頼み、席に着く。 今年から併設されたこの学食は、速い、美味い、安い。がモットーで、メニューも豊富だ。 全ての定食がワンコインで提供されており、値段も手ごろな上に味も悪くないので透もお気に入りの場所の一つになっている。  生徒達との距離も近く、気軽に話しかけてくれるのもありがたい所だが、今日だけは出来ればそっとしておいて欲しかった。 「あれ? マッスーじゃん。なになに、今日はいつもの定食じゃねぇの?」 あまり目立たないように隅の方の席を選んで座った筈なのに、うどんを啜っていると聞き慣れた声が降ってくる。 「……お前、何でこんな所に居るんだよ」 「んー? 飯食いに来たに決まってんじゃん」 顔を上げると案の定、それは和樹だった。その少し後ろに友人の雪哉がトレイを持って申し訳なさそうに立っている。 当たり前のように隣の椅子に腰を下ろした和樹に眉根を寄せながら、箸で摘んだ麺をちゅるんと口の中へ放り込んだ。 「つか、マッスーがうどん食ってるとか超レアじゃん」 「うっせ。たまたまだよ」 本当は二日酔いで食欲が無いだけだが、それをわざわざ口に出す必要も無いだろう。 「ふぅん、《《たまたま》》……ねぇ」 なんだかニヤニヤとしているように見えるのは自分の勘違いだろうか? というか……。

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