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頭痛の種7

正直言って、これ以上一緒には居たくなかった。 部屋から出て行きたいのだけれど、彼女がドアを押さえて入り口を塞いでいるためにそういう訳にもいかない。 「私ね、来月から仕事に復帰することになったの」 「へぇ。そうか……」 「なぁに? その態度……。もっと喜ぶかと思ったのに」 この女は何処までめでたい頭をしているんだ。手放しで再会を喜べるような関係は2年前に終わっているというのに。 文句の一つでも言ってやろうかと口を開きかけたまさにその瞬間。 「奏多。お前、こんな所でなに油売ってるんだよ。事務のナベさんが呼んでるって」 彼女の背後から聞こえてきた声にドクンと心臓が嫌な音を立てた。彼女の肩越しに、彫りの深い女子受けしそうな端正な顔が見える。 相川……。 自分の彼女を寝取った張本人の登場に思わず拳を握りしめる。 一度でいいからぶん殴ってやりたいと常々思ってはいるが、二人が揃うと余計に苛立ってしまう。 「はぁい。今行くからちょっと待ってて。 ……じゃぁね、透」 そんな透の気持ちなどお構いなしに、彼女はあっさりと相川に連れられて去って行った。 こんな光景がこれから毎日続くのかと思うと正直うんざりする。 「なんなんだ……。今日は厄日か?」 去っていく後ろ姿をじっと見つめながら、透は大きく舌打ちをした。

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