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遊園地に行こう3

「えー。俺、結構本気で言ってんだけどな」 じっと見つめられて、透は溜息をついた。 この瞳は苦手だ。真っ直ぐにこちらを見据えるその視線から目を逸らす事が出来なくなりそうになる。 「お前のは軽いんだよ。そういうのは軽々しく口にするもんじゃありません」 「俺はいつだって本気なのに」 「そうか、そうか。お前の気持ちは分かったから。ほら、今日はもう帰らないと遅くなるぞ」 「マッスー酷くね? 信じてないっしょ」 和樹がワザとらしく不貞腐れた顔をした。その表情を見るとやはり子供だなぁと思ってしまい口元に笑みが浮かぶ。 このクルクル変わる表情が和樹の魅力だ。一緒に居て鬱陶しいと思う時もあるけれど、堅苦しくなくて、自由で、一緒に居ると嫌な事を全て忘れさせてくれる気がする。 だが、自分と和樹では立場も年齢も違いすぎる。それを忘れたらだめだ。 「あー……まぁ、詳しい事は後で決めようか。メッセージでも入れといてくれたら返せるときに返すから」 「っ、うん! すっげー楽しみにしてるっ!」 こっちの些細な言葉に一喜一憂する姿が何とも微笑ましい。 じゃぁまた明日。と元気よく手を振りながら去って行く和樹の背中を見送りながら、数時間前のモヤモヤが嘘のように消えている事実に気が付いて透は思わず苦笑いを浮かべた。

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