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遊園地に行こう 8

お化け屋敷を出てホッと息を吐き出す透とは対照的に、和樹はご機嫌だった。 先程からずっとニヤけていて、まるで子供のようにはしゃいでいる。 「お前、顔面崩壊しすぎじゃないか? だらしない顔が更にヤバい事になってんぞ」 「ひどっ……! それを言うなら、さっきのマッスーだって超レアな顔してたし!」 「うっせ、ほっとけよ」 確かに最後の仕掛けは予想外過ぎて、普段の透からは想像出来ないくらいの醜態を晒してしまった。 もう終わりだろうとホッとした瞬間にまさか天井から血まみれの人が降って来るなんて聞いていない。あれには本当に驚いたし、心臓に悪いったらない。 「マッスーはああいうの駄目なんだねぇ。ちょっと意外だな」 「いや、普通に無理だから。あんなの平気な奴の気が知れない」 「夜にトイレが怖かったら俺が一緒に行ってやろうか?」 「そこまでビビってねぇわ。アホ!」 調子に乗ってにやりと笑いながら顔を覗き込んで来る和樹の額を軽く小突き、透はフンと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。 その後はジェットコースターを梯子して、ゴーカートに並び、自分たちの番が来たところで、雪哉達とばったり遭遇した。 「あれ? 雪哉じゃん。何やってんだよこんな所で……って、うげっ」 何も気付いていなかったのか和樹がキョトンとした顔で雪哉を見た。その後ゆっくりと視線を隣に移し思わず頬を引きつらせる。 「久々に会った先輩に対してうげっとはなんだ? いい度胸してんなぁ」 「あ、ははっ、まぁまぁ橘先輩そんなに凄まなくても」 頬を引きつらせ和樹に凄む橘を、雪哉が宥める。そんな光景を前に透は懐かしそうに目を細めつつ、係員に促されカートに乗り込んでシートベルトを着用しエンジンを噴かす。 「たく、もう追いついて来やがったのかよ……」 「えっ、なに?」 「ちょっと、飛ばすぞ」 「はっ!? 飛ばすって……これ、ゴーカートだろぉっ!?」 和樹の焦った声を聞きながら、スタートの合図と同時に透はアクセルを思いっきり踏み込んだ。ヴォンと言う小気味いい音と共にスタートと同時にぐんぐんとスピードが上がっていく。 やっぱりそうだ。並んでいた時に見た限り、結構なスピードが出るような気がしていた。 「マッスー勝負しようぜ?」 途中で追いついて来た橘にニヤリと笑いながら挑発され、負けず嫌いの血が騒ぐ。 「免許取りたてのペーぺーには負けないっての!」 思いっきり煽られて、ついムキになってしまった。アクセルとブレーキを巧みに操作し、あっという間に差を広げていく。

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