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遊園地に行こう 9
「あはは、見たか? あの橘の悔しそうな顔!」
ゴーカート勝負は透の圧勝だった。悔しそうにハンドルを握る橘の姿を思い出し、顔がにやけるのが止められない。
「遊園地のゴーカートでドリフトするとか、ほんっと無茶するよ。マッスーって絶対若い頃ヤンチャしてたっしょ」
フードコート内のテーブルに突っ伏して和樹が呆れたように息を吐く。
「学生の頃は、全生徒の模範的優等生だったんだが?」
「うっそだぁ」
「本当だって」
そんな他愛もない会話が楽しくて仕方がない。勿論、模範的な優等生と言うのは冗談だ。和樹もそれがわかっていて、楽し気に笑っている。
和樹の笑顔を見ると何故だか安心する。一緒に居て気が楽で変にカッコつけたりしなくていい。そんな関係が心地いい。
「そういや、何か食おうよ。マッスーは何がいい?」
和樹が屈託のない笑顔でテーブルに備え付けてあったメニューを差し出してくる。
「そうだな……」
和樹が差し出したメニューをパラパラと捲る。流石世界のスウィーツフェアをやっているだけの事はある。カラフルなマカロンや、色とりどりのパフェの写真が目に飛び込んで来た。
でも、男二人でフードコートに陣取りパフェってどうなんだ? ちょっと……。いや、かなり恥ずかしい気がする。
しかも周りに居る客もカップルばかりで余計に目立つ気がする。
さっきまで楽しかったのに、急に意識してしまい途端に居心地が悪くなる。
此処は無難にコーヒーにするか。
「マッスー。決まった? 好きな物頼みなよ」
「……っ」
思考を読んだかのタイミングで訊ねられぎくりと身体が小さく跳ねた。
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