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遊園地に行こう 13

「あー、疲れた」 どっかりとベンチに腰を下ろした透は、ふぅっと大きく息を吐き出した。 フードコートでパフェを食べたあと、何かとタイミングよく鉢合わせるアキラ達をかわす為にジェットコースターをいくつか梯子し、立ち寄った先のゲームコーナーで和樹とバスケットのシューティング対決をやった。 最初は負けてやるつもりだったのに、ついつい熱がこもってしまった。 悔しがる和樹に勝負を挑まれ、バッティングやレーシング勝負を堪能し、家族にお土産が買いたいと言うので土産物屋でショッピング。 気が付けば陽も傾き始め、綺麗な夕陽が遊園地を赤く染め上げていた。 「まさか、雪哉達だけじゃなくて拓海も来てるなんて思わなかったな」 「……鈍感はどっちだよ」 最初から後を付けられていた事に気付いていなかったらしい和樹に、透は呆れ顔を向けぼそりと呟いた。 「ん?なんか言った?」 「別に。ところでさ、これからどうする? そろそろ帰るか?」 「あ、あのさ……最後にアレに乗りたいんだけど」 そう言って和樹が指差したのは色とりどりのゴンドラが浮かぶ観覧車だった。 「お前、あんなもんに乗りたいのか? ガキだなぁ……」 「だって、今日はマッスーとの初デートじゃん? 記念に思い出に残るような事したいなって思って。駄目?」 「デートって言うなよ……なんか、恥ずかしいだろ?」 自分はただ、和樹が頑張ったご褒美として付いてきただけだ。なのに何だか恋人同士のような言い方をされると変に意識してしまう。 「ブハっ、何、照れてんの?」 「はぁ!? 照れてない。変な事言うと乗ってやらねぇぞ?」 「えっ、うそっ! それは勘弁して!」 慌てる和樹にフンと鼻を鳴らし、仕方ないなとばかりに溜息を吐いて見せる。 すると、ぱぁっと嬉しそうな笑顔を浮かべた。まったく……。この程度でそんな顔されたら断れないだろ。 「ほら行くならさっさと行こうぜ」 「え……?」 何気なく手を差し出して、キョトンとした顔をする和樹の顔を見てハッとした。 何を自然に手を繋ぐみたいな事やってるんだ自分は! 「あっ、いやっ違っ」 慌てて手を引っ込めアタフタする透を和樹がじっと見つめ、そしてふにゃりと破顔した。

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