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遊園地に行こう 14
「マッスー手ぇ繋ぐだけで照れんの可愛くね?」
「いや、可愛くないから! それと、今のは間違いっつーか……その、なんだ……」
「はいはいわかってますよ。んじゃ、行きましょうかお姫さま」
「誰がお姫さまだっ」
差し出された手をぺちんと叩いてやると、和樹がアハハと笑う。
「冗談だってば」
そのまま自然な動作で手を握られ、ぎゅっと指を絡められた。
「ちょっ、おまっ」
「ん? どうしたの? まさか今更嫌とか言わないでしょ? それに……こうしたら繋いでるのなんてわかんないよ」
繋いだ手をさり気なく上着のポケットに仕舞い込まれ、そのまま歩き出す。確かにこれならば周りからは手を繋いでいるとは思われないだろう。けれど、何故だか心臓がドキドキして止まらない。
(なんで、こんな……。いや、落ち着けよ俺……)
ただ手を握って歩いているだけじゃないか。こんな事で動揺しているなんて知られたらまた馬鹿にされるに違いない。と言うか手汗がヤバくないか!?
何だか変な所ばかりが気になってしまう。
「……マッスー? どうかした?」
「べ、別に何でもない」
心配そうに覗き込んできた和樹に慌てて首を振った。
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