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てっぺんまでもうすぐ
※和樹SIDE
係員に案内されるまま観覧車に乗り込むと、中は空調が効いていてとても心地いい空間が広がっていた。
夕暮れに染まる街並みを眺めながらゆっくりと高度を上げていく。
この観覧車は一周が約15分。
ついさっきまで居た場所が少しずつ小さくなって行く様子をぼんやりと眺めていると、オレンジ色の光に照らされてキラキラと輝く景色に目を奪われた。
次第に濃くなっていく夜の気配と、ライトアップされていく園内のイルミネーション。
それらが混ざり合って、まるで宝石箱をひっくり返したかのような光景が広がっている。
「ねぇ見てマッスー! すっげぇ綺麗……」
声を掛けるが反応が無い。不思議に思って振り向くと透はうつらうつらと船を漕いでいた。
もしかして疲れていたのだろうか? そう言えばここ最近元気がない様子だった。 その事と何か関係があるのかもしれない。
それなのに、一緒に出掛けられるのが嬉しすぎてあちこち連れ回してしまった。いや、寧ろなぜだかノリノリで透の方があちこち移動していたような気もするけれども。
途中雪哉や拓海達と遭遇した時は驚いたけど、透はビックリしていた気配はなかった。もしかしたら、気付いていたのかもしれない。
申し訳なさと愛しさが同時に込み上げてきて、ドキドキしながらそっと透の髪に触れてみる。
「ん……」
僅かに身じろぎをした透にびくりと肩を震わせ、慌てて手を引いた。起こしちゃったかな? とハラハラしたが、どうやら起きてはいないようだ。
スースーと規則正しい寝息を立て始めたのを確認し、ホッと胸を撫で下ろす。
そう言えば、透の寝顔を見るのはこれで二度目だ。年の割には少し幼く見える顔立ち。長い前髪が邪魔そうだったのでそっと掻き上げてやれば、整った眉毛が露わになった。
いつもは見えない額を晒すと更に幼い印象になる。それが面白くて暫くの間じっと見つめていたが一向に起きる様子が無い。
(ちょっとくらい触っても……バレないよな?)
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