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衝撃の事実 2

今朝の出来事を一人では消化することが出来ずに、勤務終わりにアキラを誘って飲みに出かけた。 繁華街の一角にある行きつけのバー『BLACK CAT」に足を運ぶと、煌びやかなドレスを身に纏った顔馴染みのオカマ、もといオーナーのナオミが出迎えてくれる。 「――ちょっと! なんなのその失礼な男! それに、女の方も最低ね!!」 器用に野太いキンキン声を上げながら、興奮した様子でカウンターにグラスをドンと置いた。 「ああん、透ちゃん可哀想! いいわ、今夜はアタシがおごったげる。だから、好きなだけ飲みなさい!」 「おいおい、ナオミ姐さん。あんま煽んなよ。透、酒癖悪いんだから……」 ナオミの提案にアキラがゲンナリとした顔をする。 「大丈夫だよ。明日も学校があるし、程々にするからさ」 流石に自分の限界量くらいは把握しているつもりだ。いくらなんでもハメを外し過ぎることは無いと思いたい。 「そう言って、この間も酔いつぶれてたじゃないか」 「ハハッ。そうだっけ?」 アキラの指摘に苦笑いを浮かべながら、透はウィスキーの水割りを口に含んだ。 「それで? 透ちゃん今はいい人いないの? デートする相手とか」 「ぶふっ」 「あらやだ、汚いわねぇ」 唐突な質問に思わず吹き出してしまった。 ふと脳裏に昨日の観覧車での光景が浮かんで、ドキッとし慌てて思考を振り払う。 「っ、な、な……っ、そんなの居るわけ無いじゃないかっ」 慌てふためく透の姿に、何かを察したナオミがアキラに目配せをして、二人してニヤニヤと意地の悪い笑みを向けてくる。 「なぁに、その反応。もー可愛いんだから! で? どんな子なの?」 興味津々と言わんばかりにナオミが身を乗り出してきて、ぐいっと顔を近づけられる。 「どんな子って言われても……本当に、そんなんじゃないんだよ」 「透は自分の事になると急にヘタレになるからなぁ」 「五月蠅いぞアキラ。悪かったな、ヘタレで」 ニヤニヤするアキラに肘鉄を食らわせて、はぐらかすように水割に口を付けた。 確かに和樹の事は人間的に好きだ。だけど、それが恋愛感情なのかと言われたらそれは自分でも良く分からない。 「案外奥手よね、透ちゃんって……。経験豊富に見えるのに意外~」 「経験豊富って酷いな。俺はただ、軽い付き合いはしたく無いだけだよ。そう言うのが重いってよく言われるんだけど……」 「真面目だなぁ。透は」 「真面目、か……。そういえば、奏多にもよく言われてたっけ……」 懐かしそうに目を細め、苦笑するとグラスに残った水割りをグイッと一気に飲み干した。 「結婚も考えてたのになぁ。まさか浮気されてるだなんて思わなかったよ……信じてたのに」 重苦しい気持ちを吐き出すように、溜息と共に言葉を漏らす。 「……未練たらたらって感じだな」 「そう、なのかな? どうなんだろう。……わかんねぇ。とにかく今は、アイツが戻って来るのが辛い。ナオミさん、やっぱちょっと強めのヤツくれない?」 「いいわね。バンバン飲んで、嫌な事なんて忘れちゃいなさいよ」 「姐さん、あんま透を煽らないでくれよ。ほどほどにしとけよ?  明日もあるんだから」 呆れ気味なアキラの声を尻目に、透は新しく注いでもらったロックのウィスキーをクイっと飲みほした。

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