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微睡の中で 2

(和樹SIDE) 姉に頼まれたお使いの帰り道、ふと思い立っていつもの公園に足を運んだ。別に用事があったわけでは無いが、何となく透のマンションの前を通ってみたくなったのだ。 あわよくば透に遭遇出来たらいいのに、なんて邪な考えを巡らせながら公園に差し掛かると見覚えのあるシルエットがベンチに座っていることに気付いた。 もしかして今日はラッキーデー? なんて期待を胸に抱きつつ、ゆっくりと近づいていくと次第にその輪郭がくっきりと見えてくる。恐らく185㎝程ある長身に適度に厚みのある身体。少し垂れ気味の二重瞼はくっきりと大きく、通った鼻筋に薄い唇。長い手足にサラリとした栗色の髪。自分が好意を抱いている男の姿を見間違うはずが無い。 距離が近づくにつれてだんだんと和樹の気分が高揚していく。煌々と照らす月明かりの下、透は酒に酔っているのかほんのりと頬を赤く染めて、はぁと艶のある息を吐く。煩わしそうに少し長めの前髪を掻き上げる姿に色気を感じて思わずごくりと喉がなった。 「こんな所でなにやってんのマッスー」 「んあ? おー、和樹じゃん」 「おー、じゃないよ。またこんな所で酔っぱらってるし」 「酔ってねぇよ。……月が綺麗だったから、ちょっと眺めてただけさ」 そう言って表情を崩す透の目はトロンと蕩けて今にも眠ってしまいそうだ。 「月? ああ、確かに綺麗だね」 和樹も釣られて空を仰ぎ見ると、そこには雲一つない夜空にまん丸の大きな月が出ていた。 「だろ? 綺麗だよな……昔はよく月を見に行ってたんだけどな……」 そう言って透がどこか寂しそうな表情を浮かべる。誰と行ったのか、なんて野暮なことは聞けない。 代わりにチラリと視線だけ戻すと、何か言いたげな熱を帯びた視線とぶつかった。

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