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ああ勘違い

ああ、頭が痛い。窓から差し込む朝日に、透のぼんやりと意識が浮上してくる。 ガンガンと響く痛みに顔を顰めつつ寝返りを打ち、違和感に気付いた。 「あれ……、服は?」 いつの間に服を脱いだのだろうか? しかも下着すら身に付けていない。 素肌に触れるシーツの感触が妙に心地良い。 いくら暑かったからって全裸になるなんて……。 確か昨日はアキラと一緒に酒を飲んでいた筈だ。その後ベンチで飲みなおしてた時に和樹に会って……それから――? 駄目だ。思い出せない。 「うーん、ダメだ。頭痛くて考えらんねぇ……」 酒を飲み過ぎたせいか、頭の中がグルグルして思考がまとまらない。何故だか身体も気怠い気がする。 取り敢えず、シャワーでも浴びようかとベッドから下りようとして、床に散らばっている自分の服が目に入った。 「え……?」 脱ぎ散らかした服に混じって、明らかに自分の物ではない下着が一枚落ちている。こんなの持ってたっけ? それに、どうしてこんな所に……? 不思議に思いつつ気怠い身体を引きずり、浴室へと向かう。 「うわ、何コレ」 鏡を見て絶句した。首筋にくっきりと鬱血の痕が残っている。 「キスマーク……だよな」 いやいやいや、ちょっと待て。これは一体どういう事だろう?  夜の公園で和樹に会った所までは覚えている。和樹と少し話をして、送っていくからと言われて……、それから……? え、まさか……。いやいやいや、無いよな? そんな……。色々な可能性を考えていくうちに顔が強張り、変な汗が出てきた。 酔ってワンナイトしてしまった相手が教え子だったなんて洒落にならない。まさか、そんなはず――。 『マッスー、誘ってるの?』 不意に脳裏に和樹の言葉が蘇る。 酔っていたとはいえ、まさか本当に? 自分は酔った勢いに任せて和樹をキズモノにしてしまったのだろうか? それでショックで和樹はパンツも履かずに逃げ出したとか? うわ、あり得る。和樹のヤツそう言う事に興味津々だったし……。 「……俺、何やったんだ……」 頭を抱えた透はそのままずるずるとその場に座り込んだ。

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