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お見舞い 4
そう自分に言い聞かせ、透はそっと体の力を抜いた。
それに、疑惑は残るもののこんな状態では何か出来るとは思えない。
「……わかった。側に居てやるから、もう寝ろ」
「うん……」
燃えるような手がゆっくり透の背を撫でる。犬か何かと勘違いしているのか、仕方なくされるがままにジッとしていると和樹がうっすらと目を開けて言った。
「ねぇ、マッスー。キスしてくれたら治るかも」
「ッ……ばーか。冗談言ってる暇あったら、早く熱下げろよ」
苦笑してムギュっと鼻を摘まんでやる。
「んむっ、ちぇ、駄目かぁ」
残念そうに肩を落とす和樹を見て、透は呆れたようにため息をついた。本当に、コイツは……。
何を言っているんだと心の中で呟きながら、透は和樹の頭を優しく撫でた。
最初はくすぐったそうにしていた和樹だったが、次第に心地良さそうに目を細める。
まるで猫みたいだ。
そのまま暫く頭を撫でていると、やがて和樹の瞼が閉じられ、穏やかな寝息が聞こえてきた。
和樹の寝顔を見るのは久しぶりだ。
去年まではあんなに幼く見えていたのに、いつの間にこんなに可愛げが無くなってしまったのだろう。
「まだまだガキだと思ってたのになぁ……」
そう呟きながら汗で張り付いた前髪をそっと拭い、温くなっていた冷えピタを新しいものと交換してやる。
僅かに触れた額は滑らかで、何故だかずっと触れていたいような気にさせられた。和樹が眠っているのを良いことに、じっとその顔を眺めていると不意に薄く開いた唇に目が行った。
――俺、この間この唇と……。思い出した途端に、ドクンと胸が高鳴る。鼓動が速まり、じわりと手に汗が滲んできた。
寝ている相手に、一体何を考えてるんだ。自分でもわかっていたが、形のいい唇から目が離せない。
「――――」
吸い寄せられるように顔を近付け、そして……。
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