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揺れる思い(透SIDE)

透SIDE) 気が付くと、真っ白な天井と無機質な照明が目に入った。 ガバッと起き上がり、辺りを見渡すと等間隔に並んだベッドと、カーテンで仕切られただけの簡易的な空間が広がっている。 (ここは……?) 一瞬、何故自分がここにいるのか理解できなかったが、徐々に記憶が蘇ってくる。 奏多が戻って来てからどいうもの、どうにも精神的に落ち着かず眠れない日々が続いていた。授業の準備にも身が入らず、仕事でのミスも増えた。 その度に学年主任や教頭から叱責を受け、自己嫌悪に陥る悪循環を繰り返している。 それに加えて昨夜遅くから、たびたび届く奏多からのメッセージ。正直見たくもないのに、既読無視をすると面倒な事になるので仕方なく目を通していた。 自分から人妻がどうとか言っていたくせに今更旦那以外の男に連絡を寄越すなんてどういう神経をしているのだろう?  理解に苦しむし、内容も中身のないくだらない物ばかりで辟易する。一番最後に来たメッセージは、今度一緒にご飯でも食べに行かないか? だっただろうか。 朧げな記憶を辿ると、気を失う前に自分を支えてくれたのは和樹だったように思う。 和樹には変な所を見られてばかりだ。教師としてしっかりしないといけないのに不甲斐ない。 思わず洩れた溜息は静かな室内に思いの外大きく響いた。 「マッスー、起きた?」 突然、誰もいないと思っていたカーテンが勢いよく開き、和樹がひょっこり顔を覗かせる。 驚いてビクッと体を揺らすと、和樹は困ったような表情をして眉を寄せた。 「寝不足と過労だってセンセー言ってたぜ? ダメじゃん、ちゃんと寝なきゃ」 静かな室内に和樹の言葉が響く。責めているわけではなさそうだったが、透はバツが悪くなり視線を逸らした。

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