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揺れる思い 透SIDE 4

誘い込まれるがまま和樹の熱い口内で互いの舌を絡ませていると、自分が積極的にキスを仕掛けているような気持になり、腰がゾクッとした。 「ん、ふ……」 鼻から思わず洩れた吐息は、まるで自分のものじゃないみたいに甘い。 こんなのはおかしい。 自分は教師で、和樹は生徒。しかも男同士だ。 今すぐに止めないといけないと思うのに、激しいキスに応えてしまうなんて、絶対に変だ。 音を立てて唾液を啜られる生々しい水音に、頭の芯まで蕩けそうになる。 このキスを、止めたくない、気持ちいいと思ってしまうなんて――。 いつの間にか押さえつけていた筈の腕は自由になっていて、躊躇いがちにそっと首に腕を回わすと和樹がハッとしたような顔をして透を見た。 チュッとリップ音を鳴らして唇をわが離れていく。透明な糸を引いた二人の唇の間を銀白色の雫が伝った。 荒い息を整えながら和樹を見上げる。彼は余裕のない表情でじっとこちらを見つめ困ったように眉を寄せた。 「……ごめん。我慢できなかった」 「……あ、いや……別に」 謝られて、途端に恥ずかしさと気まずさが同時に押し寄せて来て透は首に回した手を離すと、慌てて視線を逸らす。 と、そこに 「透、大丈夫か?」 「……っ」 ガラリと扉が開いてアキラが現れ、二人は弾かれたように離れた。 「あれ?  なぁんか俺、お邪魔だった感じ?」 二人の微妙な空気を感じとったのか、アキラがニヤニヤとした笑みを向けて来る。 「な、なっんでもない! ほ、ほらっ和樹、お前も早く教室戻れよっ!」 透は真っ赤透は真っ赤に上気した頬を隠すように俯いて、しっしと追い払う仕草をする。 和樹は何か言いたげな様子だったが、諦めたように溜息を吐くとゆっくりと立ち上がりチラリと視線を寄越して何も言わずに保健室を出て行った。

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