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眠れぬ夜は君のせい 2

(渡瀬の声、エロい) 声を堪えているものの、僅かに漏れ出る嬌声はどうしようもないらしい。 いつも元気いっぱいな拓海がこんな色っぽい声で啼くのかと思ったら、異様な興奮を覚えた。 衣擦れの音と共に微かに聞こえる二人の会話に、透はごくりと生唾を飲み込んだ。 今、拓海はどんな顔をしているのだろうか。 声は掠れていて、いつもより少し高い。まるで女みたいだ。 いやいや、待て。一体なにを考えてるんだ自分はっ!  というかアキラ、お前少しは自嘲しろよ! このままではヤバい。色んな意味で。 「……ッ」 無意識のうちに下肢に手が伸びて、既に熱く反応してしまっている自分自身に指を絡めた。 (アキラがいけないんだ……こんな所で始めたりするから……渡瀬がエロい声で喘いだりするからこんな……) 上掛けの中で息を潜めながら軽く扱いただけで、先端から体液が溢れクチクチと濡れた音がする。 そんな音を自分が出してしまっている事に激しい羞恥心を覚えた。 恥ずかしいのに、止められない。 こんな場所でしてしまうという背徳感や、自分の教え子をオカズに反応してしまった罪悪感やらで胸が苦しい。 「ん、……は、ぁ」 彼らの動きに合わせて扱いていると溜息のような喘ぎが洩れた。慌てて唇を噛み締め息を押し殺す。 「……マッスー」 「!」 いきなり正面から声を掛けられてぎょっとした。恐る恐る視線を上げるとついさっきまで眠っていた筈の和樹がいつの間にか目前まで迫っていて、ジッとこちらを見ている。 「か、和……ッむぐっ」 思わず声を上げてしまいそうになった口をバフンと手で塞がれ、和樹がベッドに上がって来る。 「声、出すと気付かれちゃうよ?」 いいの? と、耳元で囁かれてブルブルと首を振った。 こんな姿、気付かれるのだけは絶対に避けたい。 「マッスーマジで、スゲーエロい顔」 「っ!」 生暖かい息が耳にかかり、ぞくりと背筋が震えた。熱を孕んだ声や、舐めるような視線に余計羞恥心が煽られる。 最悪だ。よりによってこんな姿を和樹に見られるだなんて。

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