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眠れぬ夜は君のせい 3
「二人の声聞いて我慢できなくなっちゃったんだ?」
今にも唇が耳に触れてしまいそうな距離で息を吹き込まれ、伸びてきた右手が下肢に触れる。
慌てて止めようとしたけれど、和樹の指先が性器に絡む方が早かった。綺麗な指が形を確かめるように触れ、刺激を受けて透明な液が溢れ出てくる。
「わ、ば、馬鹿ッどこ触って……ッ」
「すっげ……」
「和樹っ、マジやめッ」
「あまり騒ぐとバレちゃうよ?」
「~~~ッ」
和樹に見つかっただけでもバツが悪いのに、この状態のモノを触られるなんて恥ずかしすぎて憤死してしまいそうだ。
上下にゆっくりと擦されクチクチと濡れた音が響く。
「大丈夫、誰にも言わないよ。こんなマッスーの可愛い姿、誰にも見せたくねぇし」
「は……んッ、可愛いわけねーだろ!」
この姿の何処が可愛いと言うのか全く理解出来ない。
あの二人にバレるのが怖くて激しい抵抗が出来ないのをいいことに、耳に熱い舌が滑り込んで来る。
濡れた水音が大きく鼓膜を震わせた。声を上げてしまいそうになり、和樹のシャツを掴んで耐える。耳の中で響く卑猥な水音と、隣の部屋の二人にバレてしまうんではないかと言う思いが混ざり合い頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
「マッスー可愛い。つかエロい」
「ッ、……。は、ぁ……」
聞こえる囁きは熱っぽく、体の芯にゾクゾク響く。どんなに堪えようとしても堪えきれず、噛み締めた唇の隙間から小さな喘ぎが洩れた。
「か、かず、ホントも……やめっ、これ以上すると俺……」
「イってもいいよ。俺、マッスーがイく顔が見てみたい」
「そ、んなの見なくていいって!」
なんかの悪い冗談かと思ったが、言った本人は至って真面目な顔だ。ジッと見つめるその瞳には、獰猛な光が浮かんでいる。
全てを喰らい尽くされてしまいそうな瞳から目を逸らす事が出来ず、思わず息を呑んだ。
喉は焼け付いた様に熱く、カラカラに乾いてしまっている。
「あ、ほら……となりもそろそろ限界みたいだね」
ふいっと視線を外されホッとしたのも束の間。突然鈴口に爪を立てられた。
ぴりっとした痛みが背筋を駆けて、同時に甘い痺れが沸き起こる。射精を促すような触れ方をされビクビクと身体が跳ねた。
「あっ、やッ」
和樹の手にイかされるのだけはどうしても避けたい。
指先が白くなるほど強くシャツを握り締め、下腹部に力を入れて見たけれど無駄な抵抗だった。
渦巻く欲望は開放の瞬間を求め高みへと上り詰めていく。
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