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眠れぬ夜は君のせい 10
「今度は、此処試してみようよ」
脱力して弛緩した腿を持ち上げられ腰が浮く。するりと尻を撫でられて窄まりに指が触れ、ギョッとして透は慌てて腰を引いた。
「なっ、何考えてんだよ!?」
「え? ナニだけど」
「ッ、ばっ、ばか……っ、そんなの入るわけな……むぐっ」
思わず声を上げてしまい、和樹の左手にばふんと口元を覆われた。
「マッスー声大きいってば。バレてもいいの? まぁ、隣にえっちぃ声聞こえちゃってたかもしれないから今更だけど」
「……ッ」
和樹の指摘に一気に顔が熱くなる。
「大丈夫、痛くないようにちゃんと準備するからさ?」
「そう言う問題じゃないだろっ! そもそも、今夜がイレギュラーな出来事だったわけで、俺はいいなんて一言も……」
「乳首弄られて、気持ちよさそうに喘いでたくせに?」
「う、うううるさいっ! バカッ、もう今夜の事は忘れろッ」
居た堪れなくて、真っ赤になった顔を腕で覆い隠すと和樹を押しのけて、慌てて布団を目深に被った。
「照れてるマッスー、やべ……可愛すぎじゃね?」
布団越しに抱きしめられて、思わず身を固くする。自分を可愛いと言うコイツは本当に頭がどうかしていると思う。
そんな和樹に翻弄されてばかりいる自分も大概おかしい。
目を閉じて必死に邪念を振り払おうとするが、先程の行為を思い出して身体が火照ってしまう。
(くそ……っ)
こうなったら一刻も早く寝てしまおう。そう心に決めて透はギュッと瞼を閉じた。
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