86 / 226

眠れぬ夜は君のせい 10

「今度は、此処試してみようよ」 脱力して弛緩した腿を持ち上げられ腰が浮く。するりと尻を撫でられて窄まりに指が触れ、ギョッとして透は慌てて腰を引いた。 「なっ、何考えてんだよ!?」 「え? ナニだけど」 「ッ、ばっ、ばか……っ、そんなの入るわけな……むぐっ」 思わず声を上げてしまい、和樹の左手にばふんと口元を覆われた。 「マッスー声大きいってば。バレてもいいの? まぁ、隣にえっちぃ声聞こえちゃってたかもしれないから今更だけど」 「……ッ」 和樹の指摘に一気に顔が熱くなる。 「大丈夫、痛くないようにちゃんと準備するからさ?」 「そう言う問題じゃないだろっ! そもそも、今夜がイレギュラーな出来事だったわけで、俺はいいなんて一言も……」 「乳首弄られて、気持ちよさそうに喘いでたくせに?」 「う、うううるさいっ! バカッ、もう今夜の事は忘れろッ」 居た堪れなくて、真っ赤になった顔を腕で覆い隠すと和樹を押しのけて、慌てて布団を目深に被った。 「照れてるマッスー、やべ……可愛すぎじゃね?」 布団越しに抱きしめられて、思わず身を固くする。自分を可愛いと言うコイツは本当に頭がどうかしていると思う。 そんな和樹に翻弄されてばかりいる自分も大概おかしい。 目を閉じて必死に邪念を振り払おうとするが、先程の行為を思い出して身体が火照ってしまう。 (くそ……っ) こうなったら一刻も早く寝てしまおう。そう心に決めて透はギュッと瞼を閉じた。

ともだちにシェアしよう!