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嫉妬とすれ違い 和樹SIDE 3

「っ! ん……は、やめっ……」 「ハハッ、口では何とも言えるよな……ほら、ここも辛そうなんだけど?」 そう言って下着越しに撫でてやるだけで、どんどん質量を増していくのがわかる。 「男に触られて、感じるなんて……いやらしいね。こんな姿、誰かに見られたら困るよねぇ?」 チリチリと炙るような責め方をしながら、透の顔を覗き込む。 唇をきゅっと引き結び、生理的に滲んだ瞳で睨み付けて来る姿を見て心の奥底からドロドロとした醜い欲望が湧き上がってきた。 もっと泣かせて、めちゃくちゃにしてしまいたい。この体を組み敷いて、滅茶苦茶に犯したらどんな顔をするだろう。 いつも澄ました顔を歪ませて、快楽で蕩けさせたい。 自分だけのものにしたい。誰にも渡したくない。 強い衝動に突き動かされるようにぐいっと腰を抱き寄せ、片足を掬い上げ膝裏に腕を差し込んで持ち上げると、バランスを崩した透がしがみ付くように抱き着いて来る。 「わ、くそっ! 和樹お前、いい加減に――ッ!」 そのまま尻を撫でると大袈裟なほど透の肩が揺れた。 「ば、馬鹿ッ何処触ってんだ!」 「いいの? そんな大声出して……誰かに見られたら困るんじゃない?」 「そう思うんなら、今すぐこんな事はやめろっ! 俺は、お前の性欲処理の道具じゃねぇぞ!」 「……ッ」 きつい瞳で睨み付け、吐き捨てる様に言われたそ透の言葉にズキンと胸が痛み、思わず動きが止まる。 「……っ、性欲処理って……そんな風に思ってたの?」 「は? それ以外の何があるって言うんだ。お前がやろうとしてんのは強姦と一緒だろうが」 確かにその通りだ。でも、違うのだ。 本当はそんな事思ってない。 どうして? 何故? ずっと我慢してきた想いは結局何一つとして透には届いていなかった。 「そっか……そんな風にずっと思ってたんだ……」 それが、ただひたすらに悲しくて――。 和樹は泣きそうになるのを必死に堪えながら、静かに目を伏せ透を開放すると逃げるようにその場を後にした。

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