104 / 226

嫉妬とすれ違い 和樹SIDE 4

「うっわ、最悪」 教室で、今朝あった出来事を話した途端、雪哉が呆れたような顔で呟いた。 それに同意するように拓海も大きくため息を漏らす。 和樹の話を聞いている最中にも、雪哉は何度もため息を零していたのだが、それはきっと無意識に。 「…そんなハッキリ言うなよ」 「最悪以外になんて言えばいいんだよ。いくら何でもソレは増田先生に失礼だろ。強姦まがいな事して、自分の気持ちわかって下さいなんて都合よすぎ」 「う……っ」 「和樹ってさ、暴走しすぎ。何焦ってるんだよ。そんなんじゃ余計にマッスーから嫌われるんじゃね?」 「うぅ……ッ」 二人の言葉が辛辣だが正論過ぎて返す言葉も出ない。自分でも、やり過ぎたと思っているので尚更だ。 「自分の気持ちを押し通したいのはわかるけどさ、少し頭冷やしなよ。先生の気持ちも少しは考えた? 無理やり関係を持ったとして、和樹はそれで満足なわけ?」 「オレもユキの言うとうりだと思う。そりゃ、身体目当てだと思われたって仕方ないよ」 「……」 黙り込んだ和樹を見て、二人は再び大きな溜息をついた。 「和樹って、結構バカだよな」 「うん、救いようがないね。単細胞もここまで来ると逆に面白いかも」 「ちょ……そこまで言わなくてもいいじゃんか」 二人がかりでボロクソ言われて、流石に傷つく。 だけど、言い返せない。 透が元カノと一緒に居るのを想像しただけでも腹が立って、あんな事をしてしまった。 自分の中にこんな激しい衝動があるなんて知らなかった。 「取敢えずマッスーに謝んなよ。話聞いてくれるかはわかんないけど」 「いくら優しい増田先生でも今回ばかりは、許してくれないかもしれないけどね」 「うぐ……ッ耳が痛い……」 「「自業自得」」 見事にハモった二人の声が、ぐさりと胸に刺さる。確かにそうだ。自分は何をやってるんだろうと自己嫌悪に陥る。 「あぁもう、どうしよう~……」 和樹は頭を抱え、がっくりと項垂れた。

ともだちにシェアしよう!