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嫉妬とすれ違い 和樹SIDE 4
「うっわ、最悪」
教室で、今朝あった出来事を話した途端、雪哉が呆れたような顔で呟いた。
それに同意するように拓海も大きくため息を漏らす。
和樹の話を聞いている最中にも、雪哉は何度もため息を零していたのだが、それはきっと無意識に。
「…そんなハッキリ言うなよ」
「最悪以外になんて言えばいいんだよ。いくら何でもソレは増田先生に失礼だろ。強姦まがいな事して、自分の気持ちわかって下さいなんて都合よすぎ」
「う……っ」
「和樹ってさ、暴走しすぎ。何焦ってるんだよ。そんなんじゃ余計にマッスーから嫌われるんじゃね?」
「うぅ……ッ」
二人の言葉が辛辣だが正論過ぎて返す言葉も出ない。自分でも、やり過ぎたと思っているので尚更だ。
「自分の気持ちを押し通したいのはわかるけどさ、少し頭冷やしなよ。先生の気持ちも少しは考えた? 無理やり関係を持ったとして、和樹はそれで満足なわけ?」
「オレもユキの言うとうりだと思う。そりゃ、身体目当てだと思われたって仕方ないよ」
「……」
黙り込んだ和樹を見て、二人は再び大きな溜息をついた。
「和樹って、結構バカだよな」
「うん、救いようがないね。単細胞もここまで来ると逆に面白いかも」
「ちょ……そこまで言わなくてもいいじゃんか」
二人がかりでボロクソ言われて、流石に傷つく。
だけど、言い返せない。
透が元カノと一緒に居るのを想像しただけでも腹が立って、あんな事をしてしまった。
自分の中にこんな激しい衝動があるなんて知らなかった。
「取敢えずマッスーに謝んなよ。話聞いてくれるかはわかんないけど」
「いくら優しい増田先生でも今回ばかりは、許してくれないかもしれないけどね」
「うぐ……ッ耳が痛い……」
「「自業自得」」
見事にハモった二人の声が、ぐさりと胸に刺さる。確かにそうだ。自分は何をやってるんだろうと自己嫌悪に陥る。
「あぁもう、どうしよう~……」
和樹は頭を抱え、がっくりと項垂れた。
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