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一歩踏み出す勇気 6
だが、理人は至って真剣な表情で、透の方へ身を乗り出してきた。
「無理かどうかは体に聞いた方が手っ取り早いって言ってんだ。頭で考えるからわからなくなるんだ。身体に聞いて、もし抵抗があったら脈なし。何もなかったら多少は可能性あるってことだ。簡単な話だろ?」
「いや、ぜんっぜん簡単じゃないだろ!?何言ってんだ? 酔ってんのか!?」
「酔ってねぇよ。今の現状を変えたいんだろ? だったら行動あるのみじゃねぇか。それ以外に何があるんだよ」
「そうだけど、でも……」
「でも、なんだ?」
「相手は生徒だしさ……一応、俺は教師なわけで……」
煮え切らない態度の透に、理人はイラついたように舌打ちをした。
「教師だからって性欲が無いわけじゃねぇだろ? 一度もそいつの裸体を想像したことは無いのか?」
「……そ、それは……」
ないと言えば嘘になる。
和樹の白い肌を晒した姿を妄想したことはあるし、その先も……。
そこまで考えて、透はブンブンと首を振った。いやいや、ダメだ! やっぱり生徒に手を出すなんて! いくら相手が望んでいても、やはり越えてはいけない一線と言うものがある。
「教師つったって一人の人間だろうが。たまには自分の欲求に素直に従ったっていいんじゃねぇの?」
「……でも、まだ好きかどうかもわからないのに……」
「好きかどうかなんて関係ねぇだろ。ヤりたいか、ヤりたくないかシンプルじゃねぇか」
「……はぁ」
大真面目になんてことを言うんだと、思わず頭を抱えたくなった。完全に相談する相手を間違えた。
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