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秘密の関係 8

「透、お前アイツとなんかあっただろ?」 「ブホッ、ゲホッ、ゲホッ……な、な、何言って……」 昼休み、食堂でカツ丼を食べているとニヤニヤとした笑みを浮かべながらやってきたアキラが開口1番にそう言ったので、透は盛大に咽せてしまった。 「ウケる、動揺し過ぎな」 「別に動揺なんかしてない。 お前がいきなりおかしなことを言い出すから」 透は腕で口元をごしごしと拭いながら平静を装おうとした。アキラとは長い付き合いだから、油断するとボロが出そうで怖い。 「おかしな事、ねぇ?」 そんな透の心を見透かしているのか、アキラは意味ありげな笑みを浮かべた。 「なんだよ」 「別に?」 アキラは全然「別に」ではない顔をしている。猫に遊ばれているネズミのようにじわじわと追い詰められているような気になって仕方がない。 確かに夕べ、自分は和樹と一線を越えてしまった。 だが自分は、学校ではバレないように自分は努めて平静を装っていたつもりだし、腰に残る鈍い痛みだって気付かれないように細心の注意を払ってきたはずだ。 それなのにどうして分かったんだろう。 「なんでわかったんだ? って顔してるな」 「そんなつもりじゃ……」 図星を突かれてぎくりと身体が強張る。そんな些細な変化もお見通しだと言わんばかりに、アキラは意地の悪い笑みを深めた。 「お前は上手く隠してるつもりだろうが、アイツは全然隠しきれてねぇんだよ」 「へ?」 「アイツ、授業ずっとニヤニヤしてて緩みっぱなしだったぞ? 」 「…………」 自分じゃ無くて、そっちか……。 透はガックリと肩を落とした。和樹がどんな顔をしているか知らないが隠すつもりあるのかアイツは。 心の中でツッコミを入れつつ、呆れたようにため息をつく。 「で? 何があったのかな? 透クン」 「だから、何でも無いって……」 「ふぅん? ま、いいや。じゃぁ和樹に直接聞くわ」 「そ、それは駄目だっ!!」 咄嗟に言ってしまってからハッとする。しまったと思った時には既に遅く、アキラがしたり顔でこちらを見ていた。

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