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秘密の関係 9

だ。それから数日。透は極力和樹を避けて過ごしていた。校内では勿論のこと、授業中も出来る限り見ないようにしている。 あの後、結局アキラに根掘り葉掘り聞かれ、散々からかわれた。和樹はというと相変わらず締まりのない顔を振り撒いており、職員室内でも和樹に彼女でも出来たのではないかともっぱら噂になっている。和樹には念のため、釘を刺しておいてよかった。自分たちの関係が知れたら、お互いの今後の生活に支障をきたしかねない。 出来ればこのまま、誰にも知られずに平穏無事に過ごしたかったのだが、そう上手く行くものでもなくて……。 放課後、いつものように部活へ行こうと体育館へと向かっている途中、和樹とばったり出くわしてしまった。 「マッスー! 良かった、全然会えないから避けられてんのかと思ってた」 「……っ」 和樹は透の姿を見つけるなり、嬉々として駆け寄ってきた。校内で出来れば会いたくなかった。 「今日はバスケだろ? 終わるまで待っててもいい?」 「は? いや、寒いし帰れよ」 「……やだし」 「いやって……駄々っ子かお前は」 口を尖らせながらじりじりと近づいて来る和樹に嫌な予感がした。透は和樹を正面に捉えたまま身体を引くと廊下の壁が背中にぶつかり、追い込まれてしまう。 「だって、全然マッスーと話せてないし」 するりと腰を撫でられて、咄嗟に言葉が出てこなかった。 この間の事を思い出してしまい頬に熱が集まるのを感じる。 「ね? いいでしょ? 邪魔しないし。なんなら、久しぶりに部活参加して帰ろっかな」 「おい、おまっ受験勉強は!?」 「えー、たまには息抜きしたいじゃん? つか、少しでもマッスーと一緒に居たいし……」 「……っ」 和樹のはにかんだような笑顔に不覚にもドキリと心臓が跳ねる。そんな可愛い事を言われたらダメだとは言い辛い。 「そういや、雪哉も久しぶりにバスケやりたいって言ってたし、呼んでもいい?」 「……好きにしろよ」 「やった!」 透が諦めたように小さく溜息をつくと、和樹は子供みたいに無邪気に喜んだ。

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