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秘密の関係 14

「どうしても何も、こんなとこ誰かに見られたら……」 「大丈夫だよ。ウチの前人どうり少ないし。ね? ちょっとだけ」 和樹の指先が首筋に触れ、ゆっくりと頬に降りていく。 このままではまずいとわかっていても、和樹の顔が近すぎて動けなかった。 心臓の音がやけにうるさい。 和樹に聞こえてしまうんじゃないかと思うくらいドキドキする。 少しだけ、触れるだけなら……。 「――――」 引き合うみたいに、二人同時に唇を寄せ合った。 そこに突然、静かな車内に和樹のカバンからけたたましく電子音が鳴り響く。 「ッ!!」 あと数ミリでキス。と言う距離をバッと離すと、透は慌てて和樹の携帯を取り出した。 「おい、電話鳴ってんぞ」 「チッ、んだよ……。今いい所だったのに」 「……」 ほんの一瞬、普段の和樹からは想像できない雄の部分を垣間見た気がして透はゴクリと唾を飲み込んだ。 「もしもし……あぁ、母さん。何だよ急に。今? 家の前に着いたとこ。久しぶりに部活したくなってさ、マッスーに送ってもらったんだよ」 和樹は面倒くさそうにしながら、一通り話し終えると電話を切って残念そうに透の方を向いた。 「残念だけど、続きはまた今度、だね」 「つ、続きって……」 名残惜しそうにしながらも和樹は荷物を持ってドアを開ける。 外から冷たい風が吹いて来て甘い空気が払われる。 「ありがと、マッスー。またな」 ゆっくりとドアが閉まった瞬間、和樹の母親が顔を覗かせたが、赤くなってしまっているであろう顔を見られないようにするのが精いっぱいで、気付かなかった振りをして逃げるように車を発進させた。

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