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秘密の関係 15

「――はぁ」 風呂から上がり、ソファで寛ぎながらビールを煽っていると思わず深い溜息が洩れた。 自分は一体なにをやっているんだろう? 居た堪れなくてつい、逃げてしまった。 和樹の両親に怪しまれたりしなかっただろうか。 いや、それよりも。きちんと拒まなかった自分が悪い。  あれ以上続けていたらきっと、止まれなかった。 もし、万一のことが起こってしまった時、自分はどんな顔で和樹の前に立てばいいのか。 そんな事を考えていると、静かだった室内に着信を知らせるメロディが響いてきた。 画面を確認すると、先程別れたばかりの和樹からで透は一瞬迷ったが通話ボタンを押した。 『あ、マッスー出た』 開口一番にそんな言葉を聞いて透は苦笑した。そして少し安心した自分が居る事に気づく。 「何だよいきなり」 『いや、声聞きたくってさ』 「さっきまで一緒に居ただろうが」 相変わらずの直球に、透は照れ隠しで憎まれ口を叩いたが、和樹は気にした様子もなクスクスと笑っただけだった。 「で、用件はそれだけか?」 『違うよ! あのさ、明日3限じゃん? 部活も休みって言ってたし……勉強、教えて欲しいんだ』 「……」 『言っとくけど、変な意味じゃないよ? まぁ、下心が全く無いって言えば嘘になるんだけど……。じゃなくて! 今日模試の結果返って来たんだけど……第一志望のとこだけC判定でさ、ヤバいんだよ』 和樹は焦ったように言い訳をしながら、透の答えを待たずに捲し立てる。 そんなの自分じゃなくて雪哉にでも頼めばいいじゃないか。と喉元まで出掛った言葉を呑み込み、透は緩く息を吐いた。 「……わかった。明日、俺の家でいいか?」 『えっ、マッスーの家? い、いいの?』 「いいも何も、勉強するんだろ?」 和樹は何かごにょごにょと言っていたが聞き取れず、深く追求しない方がいいと判断して透は早々に会話を切り上げた。 明日、和樹がここに来る……。という事は、もしかして……? って、いやいや、自分は何を考えているんだ! 自分で提案しておきながら今更ながらになんだか恥ずかしさが込み上げてきて、透は残ったビールを一気に煽るとソファに突っ伏して頭を抱えた。

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