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秘密の関係 和樹SIDE 10
「……本当に親御さんはOKしたんだろうな?」
「勿論。母さんすっげぇ喜んでたよ。先生が直々に教えてくれるなんて! って」
和樹の家は基本放任主義だ。やると言った事さえきちんとしていれば、特に咎められることは何もない。
流石に無断で外泊などしたら怒られてしまうが、きちんと理由を言えば、案外すんなりと受け入れてくれる。 ここ最近はきちんと勉強もしているしそれに伴って成績もそこそこ上がってきていると言う事情もあるだろう。
教師が直々に勉強を泊りがけで教えてくれると言う稀有な状況に大喜びしていた母親を思い出し、和樹は苦笑した。
女の子とスる時は必ず避妊をしろと、箱ごとゴムを渡してくるような親なので、息子の性事情についてはあまり興味が無いのだろうし、まさか男同士でこう言う事をしているとは夢にも思っていないに違いない。
「……なんか、すげぇ罪悪感が」
「勉強はもちろんしてるけど、エッチな個人授業付きだなんて思わないだろうね」
するりと腰を引き寄せて後ろから抱きしめると、透がビクッと体を震わせる。
「ば、ばか……っ今日はもう……」
「えぇ、嘘でしょ? 夜は長いんだし。もっとマッスーの事教えてよ」
耳元に顔を寄せて囁くと透は耳まで真っ赤になった。
「~~~~ッ! だ、駄目だ! これ以上やったら明日の授業に支障が出るっ!!」
「ふはっ、わかったよ。もうヤんない。けど、触れ合うだけならいいでしょ? さっき、マッスー好きだって言ってたし」
するりと手に自分の手を重ね、指先を絡める。
「……っ、そう言う事なら……。取り敢えず他の教科もやるぞ。出来る限り詰め込んでやるから準備しろよ!」
照れ隠しなのか、透はぷいとそっぽを向いてしまった。けれど、その横顔は仄かに赤い。
素直じゃ無い透にクスリと笑いを零して、和樹はカバンの中から参考書を取り出した。
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