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楽しい夜は
「なぁ、透。明日どうする?」
「は?」
学校へ着くなりアキラに開口一番そう言われて、透は思わず間の抜けた声を上げた。
明日? 明日ってなんだ? 何かあったっけ?
「あれ? ナオミさんから聞いてないのか? クリパの事」
「あ、あー……」
そう言えば、昨夜そんな電話が掛かっていた気がする。昨夜からの和樹とのあれやこれやですっかりその事が頭から抜け落ちていた。
「なんだよ、珍しいな。透が予定をちゃんと把握してないなんて」
何かあったのか?と尋ねられて言葉に詰まる。
あの後結局、家に泊った和樹と勉強しながら合間にキスをしたりしていたのだが、結局我慢できなくなった和樹に押し倒された。
しかも、疲れ果てて落ちるように眠り、目が覚めたら朝からまた……。
若さと言うものは恐ろしい。
もう一体何回したのか覚えていないほど、一晩中抱き合った。
正直途中から記憶があやふやなのだが、それでも自分が和樹に抱かれ、何度も絶頂を迎えた事はハッキリと憶えている。
お陰で今日は腰が痛いなんてもんじゃない。体中が痛いし、怠いし、寝不足で目の下には隈が出来てしまった。
おまけに、腰は重いわ喘ぎすぎて喉はガラガラだわで、最悪だ。
「透?」
「い、いや……別になんでもない」
「なんか、怪しいな……」
まさかセックス三昧で腰を痛めました。とは流石に言えない。
(くそ、あいつ加減ってものを知らなさすぎだろ)
若いから仕方がないとは言え、こっちの身にもなって欲しい。
「まぁいいや。で、どうする?」
「どうするって言われてもな……」
「和樹連れてくなら、ハルも連れて行こうと思ったんだけど」
「え? いやいや、流石に酒が出るような場所に未成年を連れてくわけにはいかんだろ」
「フハッ、お前ならそう言うと思った」
透の言葉にアキラが可笑しそうに笑う。と、そこに
「マッスー発見!」
「……ぅっ」
いきなり背後からタックルされ、透は前につんのめって思わず呻いた。
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