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楽しい夜は 3
一体、なんでこうなった?
「あら、いらっしゃーい。みんな待ってるわよ」
新宿二丁目の一角にひっそりと佇んでいる行きつけのバー「BLACK CAT」の扉を開けると店内は既にクリスマスムード一色で、至る所にリースが飾られていた。
耳に馴染んだゆったりとしたBGMも今日はクリスマスソングに仕様が変わっている。
それはいい。それは、構わないのだが……。
「あ、マッスーだ!」
「……なんで……、お前が此処にいるんだよ」
「なんでって言われても……」
飼い犬が尻尾を振って飛びついてくるような勢いで和樹が駆け寄ってくる。
「俺が連れて来たんだ」
「やっぱお前かよ……っ」
「悪いな。ハルがどうしても着いて来たいつーから。一人じゃかわいそうだと思って。それに、人数は多い方がいいだろ?」
視線をアキラに向ければ、その隣にちょこんと座る拓海の姿が見える。
「だろ? じゃないだろ。なに勝手に決めてんだよ」
「……ごめん、マッスー。やっぱ迷惑だった?」
シュンと肩を落とす和樹を見て、ふと罪悪感が芽生えた。そんな顔をされたら流石に怒れるはずもない。
「っ、あーもう! しょうがないな。今回だけだからな? あと、酒は絶対に飲むなよ?」
「うん! ありがとう、マッスー! 大好きっ」
「はいはいっ、つか、近いから!」
嬉しそうに抱き着いて来る和樹を押し返し、促されるままカウンター席へと座る。
「うふふ、かっわいい~。こんな可愛い子ちゃんに透ちゃんが組み敷かれちゃってるなんて、意外だわ~」
「ブフッ、んな……っ」
真っ赤なドレスを着て妖艶に微笑むナオミにとんでもない事を言い当てられ、透は口に含んだばかりの水を思わず噴き出しそうになった。
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