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楽しい夜は 8
和樹SIDE
「うぁ~……なんか、生々しい……」
透の行きつけであると言うバーのオーナー、ナオミと話をしていると、隣で聞いていた拓海が顔を真っ赤にしながらボソリと呟いた。
「ナオミさん、後で増田センセーに怒られたって俺、知らないからね」
元クラスメートの湊は、猥談は聞き慣れているのかカウンターの方でからかわれている透をチラリと見ながら呆れたようにため息を吐く。
「うふふ。だって、透ちゃんいい反応してるれるからついつい、苛めたくなっちゃうのよねぇ」
ナオミは悪戯っぽくペロリと舌を出し、テーブルの上に置いてあったカクテルを一口飲むと、再び透の方に視線を向けた。
その気持ちは何となく理解できる。透の反応がいちいち可愛くて、つい虐めたくなってしまうのだ。
本人は嫌そうな態度を見せるけど、本気で抵抗しないのがいけないと思う。
……もっともっと色々な表情を見てみたい。もっと困らせたいと思ってしまう自分は、やっぱり性格が悪いんだろうか。
(マッスーは本当は俺の事どう思っているんだろう?)
本心を知るのは怖いけれど、聞いてみたい。
透の事になるといつも不安になってしまう。自分でも自分の感情が制御できなくなってしまうくらいに好きで堪らなかった。
勢いで関係を持ったものの、未だに透から好きだと言われたことは無い。
自分と同じ気持ちなのか? と尋ねた時、頷いたがそれだけだ。
初めて身体を重ねた日から、何度か致しているが、いつもなし崩し的に流されてそのまま最後まで行ってしまう。だから、自分の事をどう思っているのか、いまいち掴みかねていたりする。
(……好きって言ってくれればいいのに)
ぼんやりとそんな事を考えながら、グラスの中の氷を口に含むと、ガリっと噛み砕く。
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