152 / 226
楽しい夜は 11
「あーでも、気を付けとかないと、ナオミさん結構いい性格してるから。油断してたら二人ともうっかり食われちゃうかもよ?」
「え!?」
シレっと恐ろしい発言をする湊に、思わず拓海と和樹の頬が引きつった。
「やぁねぇ、人聞きの悪い事言わないでちょうだい! アタシはムッチムチのマッチョが好きなの! お子様は対象外よ! あぁ、でも……可愛い子は鑑賞用で愛でたいかも……」
そこにすかさずナオミがやって来て、美味しそうなボンゴレパスタをテーブルに置きながらチラリ、と拓海に視線を寄越し、意味深な笑みを浮かべる。
その視線の意味を瞬時に理解し、拓海の顔がサッと青ざめるのが見て取れた。
「アキラ君も罪よねぇ、こんなカワイコちゃんほおっておくなんて。ハル君、だっけ? お肌つやつやでかっわいい~」
「……ッ」
拓海は、まだナオミのキャラに馴れないらしく、頬を撫でられてどうしたらいいかわからずにピシっと固まってしまっている。
「ナオミさん、だーめ。コイツは俺のなんで。おさわり禁止です」
「ぅわ、ちょっ!?」
すると、すかさずアキラが間に入り、拓海の腰を抱き寄せてナオミから奪うように遠ざけた。
「あら、やだアキラ君。ヤキモチ?」
「えぇ、そうですよ。誰にも渡しません」
「ア、アキラ……ちょっ、恥ずかしいからそう言うの止めろってば」
拓海は耳まで真っ赤にして俯いている。
「あらやだ、ラブラブねぇ。うふふ、妬けるわぁ」
ナオミはクスッと笑うと、アキラの頬をツンと突っついた。
「勿論。俺の大事な恋人なんで」
そうやって堂々と言ってのけるアキラは凄いと思う。何というか大人の余裕があると言うか……。カッコいいし、スマートだし……。
ともだちにシェアしよう!