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楽しい夜は12
なんだろう、そこはかとなく雰囲気がエロい。拓海がアキラに夢中になるのもわかる気がする。
ちょっとだけ、二人が羨ましい。
自分達もいつかはああいう風になれるのだろうか。
(……なれたらいいな)
「まぁた暗い顔してる。それにしても、透ちゃんってば和樹君放置だなんて酷いわねぇ」
「あー、まぁ。そんな関係じゃないんで。それに、勝手について来ちゃったの俺だから……」
「ふぅん? そうだ! ねぇねぇ、透君の酔ってぽややーんとした顔見たことある?」
「へっ!? あ、あぁ……一度だけ」
突然の質問に戸惑いながらも答えると、ナオミは目を輝かせながら身を乗り出してくる。
「透ちゃんって、可愛いわよねぇ。酔うと特に色っぽいって言うか、フェロモンむんむんで……なんか、普段とのギャップが堪らないのよねぇ」
ほぅっと息を吐くナオミの言葉に和樹は激しく同意する。 わかる、めっちゃわかる。 あの時の透はとにかくエロかった。我慢できずにうっかり襲いかけた。
あの時からしたら、少しは進展してるような、そうでもないような……?
「透ちゃんって普段はガード堅いけど、一度スイッチ入っちゃうと、凄いのよね。キス魔になっちゃうし」
あー、うん、確かに。と言うか、ナオミさんもキスされたことがあるのだろうか? ふと湧いた疑問に、和樹の中でどす黒い感情が頭を擡げる。
もしかしたら、アキラにも? それとも、もっと別の誰かに? 嫌な想像ばかりが頭に浮かび、知らず眉間に深いしわが寄る。
「あらあら、余計な事言っちゃったかしら?」
言葉とは裏腹に全然困ってない様子でナオミは楽しげに微笑んでいる。と、そこに突然「……おい」
と、
不機嫌そうな声が割り込んできて、和樹はハッとして声の主の方を見た。
顔を上げると理人が不機嫌そうな表情でジッとこちらを見ている。
この人は苦手だ。なんだかよくわからないけど怖い。
透の従兄弟だと言うが、眉間に深い皺が寄っているし、目つきが鋭いせいで、ちょっと威圧感を感じる。
コミュニケーション能力は高い方だと自負しているが、この人とは仲良くなれる気がしないのは何故だろう?
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