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楽しい夜は 13
「透とヤったのはお前か?」
「ふぇっ!? はい……?」
「ブフッ、ちょっと、理人直球すぎ……っ」
鋭い瞳に射抜かれ、思わず身を強張らせると、それを聞いていたナオミが吹き出した。
「そう、か……」
「……?」
そのまま理人の視線が下の方へと注がれる。 なんだろう? この人。何を考えているのかいまいちよく分からない。
「フッ、顔はまぁまぁだな。悪くない」
「は?」
わ、笑った……。と言うより、苦笑された?
「どうやって、アイツを落としたんだ? 実は凄いテクでも持ってんのか? お前」
戸惑う間もなくストンと隣に腰掛けて、肩を抱かれ恐怖で顏が引きつった。
「や、どうやってって言われても……」
テクニックなんてそんな凄いものは何も持っていない。やってみたいことは多々あるが、実際に透を目の当たりにすると興奮で何も考えられなくなってしまう。
このままじゃ駄目だとわかっていても、理性が追い付かないから困る。
「ふぅん?」
「……あ、あの。離して下さい。近い、から」
「なんだ、照れてんのか? 可愛いな、お前」
「ちょ、やめてくださ……!」
ぐいっと抱き寄せられ、顎を持ち上げられる。
まるでキスされるような体勢になって、焦って顔を背けたら、グイッと無理やり正面を向かせられてしまった。
「いい反応だな。薄々思ってたことだが、お前、透が初めてだろ」
「そ、そうです……っけどっ」
どうしてバレた!? もしかして、心の声がダダ漏れだったとか? と言うか、今それ関係あるの!? 思わずギクリと固まると、ニヤリと口角を上げた理人に見つめられる。
「……そうかそうか……」
「……っ」
一体なんなんだ!? 全く読めない。戸惑う間もなく伸びてきた冷たい手に頬を撫でられた。まるで、猫でも可愛がるような仕草で。なのに、何故かゾワっと鳥肌が立った。
この人、絶対にSだ。間違いない。
本能的に危険を察知して、距離を取ろうとするのだが、ガッチリと腰をホールドされてしまっていて、逃げるに逃げられない。
助けを求めたくて、ナオミを見れば面白いものを目の当たりにしたとばかりに肩を震わせて笑いを堪えている。
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