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楽しい夜は 15

透SIDE 「も~、マッスー。いつまで寝てるのさ。そろそろ起きなよ」 ゆさゆさと肩を揺すられ、透はぼんやりと目を覚ました。 いつの間にか寝てしまっていたらしく、目の前には呆れた様子の和樹がいて、周りでは皆が生温かい眼差しをこちらに向けている。 「悪い。いつの間にか寝てたみたいだ」 「ふふ、きっと疲れてたのね。でも呑気に寝てる場合じゃないわよ。もう少しで和樹君が理人に食べられちゃうところだったんだから」 「は!?」 ナオミの言葉にギョッとして慌てて身を起こす。 なんだよそれ、聞いてない! って言うか、食べられるってどういうことだ!? 意味が判らず和樹に視線を向けると、彼はどこか困ったような顔で曖昧に微笑み返してきた。 なんだよその顔。なにかあったのか……? 嫌な予感がする。なんだか胸騒ぎが止まらない。 まさか本当に危なかったのだろうか? そう言えば理人はやたら和樹の事を気にしていたようだったし、まさかとは思うがもしかして……? いくら何でも瀬名が居るのに理人が未成年に手を出すはずが無い。いや、でも……、昔は数々の浮名を流して来た男だし……。 嫌な想像ばかりが膨らんで、どんどん不安になっていく。 まさか、本当に……? いや、そんなはずは無い。大丈夫、そんなことある訳無い。 なんで自分は、和樹のピンチに気付いてやれなかったんだろう。和樹が自分以外の男と……だなんて考えた事なかった。嫌な場面を想像してしまい、思わずぎゅっと拳を握る。そんなのは嫌だ。 いくら相手が理人でも流石に許せない。 自分が傍について居ながら、なんて不甲斐ないんだ。呑気に寝ていただなんて我ながら情けない。

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