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楽しい夜は 16
そう言えば理人はどこだ? 瀬名の姿も見当たらない。
キョロキョロと辺りを見渡せば、ナオミが頬に手を当てて神妙な顔を作った。
「理人は今、お説教を受けてる最中よ。いくら酔ってるからって無理やり……ごめんなさいね、あたし達がちょっと目を離したすきに……」
そこまで口にしたところで、ナオミは突然言葉を詰まらせ。何故か視線を彷徨わせながら口元を手で覆って黙り込んでしまう。
やっぱり理人が無理やり和樹を? いやいや、いくら酒癖が悪いからってそんな見境なく人を襲ったり――……。
…………。
……。
……あり得ない話では無い所が怖い。透は頭を抱えて大きく息を吐き出した。 そこに
「おい、ナオミてめぇ、いい加減な事ばっか言ってんじゃねぇぞクソ野郎が!!」
ドスの効いた声と共に扉の向こうから理人が現れ、透はキョトンと目を開いた。
あれ? なんだか思っていたのと違う。 ドンと、テーブルの上にホールケーキを乗せて、理人が不機嫌そうな顔でこちらを見下ろしてくる。
「透も透だ。なんでコイツの悪い冗談だってすぐ気づかねぇんだよ」
理人の言葉に透は困惑気味に眉を寄せた。
え? 冗談……? よぉく周りを見てみれば、アキラたちがニヤニヤと楽しげに笑っている。
「マッスー俺が襲われたかもってちょっと焦った??」
「そりゃ、焦るに決まってんだろうが。悪趣味な冗談は止めろよ。お前にもしものことがあったら、親御さんに申し訳が立たないだろう?」
「えー……。なんだ、そっちかぁ。俺の和樹に手を出すなんて! とかじゃないんだ」
なんだ、残念。なんて軽い口調で肩を落とす和樹の頭を軽く小突いた。
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