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楽しい夜は 20

「俺、バイトとかしてないし、何も思いつかなくってさ……こんなのしか準備できなくて」 「……っ何言ってんだ。最高のプレゼントだ」 透はその写真を大事そうに胸に抱くと、愛おし気に目を細めた。 「よかった。じゃぁ俺……。帰るよ。またな、マッスー」 タイミングよく、和樹の家の前でタクシーが停まり、透の手の平にそっと口付けをしてから和樹が車を降りる。 見えなくなるまで手を振ってくれる和樹の姿に、じんわりと温かいものが込み上げてきて、何とも言えない気持ちになる。 「ったく、アイツは……。恥ずかしい奴め」 苦笑しながら、車窓から見える景色をぼんやりと見つめる。 ふと、空を見上げると雪がちらつき始めていた。 ホワイトクリスマスか。ロマンチックだな。 柄にもなくそんな事を考えてしまう自分に、思わず笑みが零れる。 和樹がくれたこの写真は一生大切にしようと心に決めて、透は家路についたのだった。

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