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こっちを向いてよ 7
「正直なところ、胸とかどうでもいいし。偶々好きになった人が同性だったってだけの話だろ? 好きだから触れ合いたいと思うし、キスとか、その先のこととかしたいって思うの普通じゃない?」
「…………」
まさかこの歳になって、教え子から恋愛観を学ぶ日が来るとは思ってもみなかった。
ごちゃごちゃ考えていた自分がなんだか少しおかしい。
「でもまぁ、これからは顔見ながら出来るんだよね?」
「えー……、ハズいから無理」
「えっ!?」
まさかそう返ってくるとは思って居なかったのか、和樹の目が心底驚いたように大きく見開かれる。
自分の言葉に一喜一憂するその顔がなんだか愛おしく思えきて、そっと首に腕を回して引き寄せ自分から軽く口付ける。
「……気が向いたら、な」
「やった! 約束だからね! 」
途端に満面の笑顔を浮かべる和樹につられて透も思わず苦笑する。
「あ、でも今日みたいなのは勘弁してくれよ。俺、明日も仕事なのに、腰が立たなくなっちまったら困るから」
もう既に疲労困憊で、これ以上されたら確実に足腰が使い物にならなくなるだろう。
「え~……」
「え~じゃねぇよ。ヤりすぎなんだよ俺の負担ってモンを考えろ馬鹿。何回もナカに出しやがって……掻き出すの大変なんだからな!」
「後処理手伝ってあげるっていつも言ってんじゃん」
「お前にさせると確実にもう一戦始まるから駄目だって何度も言ったよな? いい加減学習しろよ」
「ちぇ、ケチ」
「うるせぇ。ほら、さっさと風呂入ってこい」
「はぁい」
渋々と浴室に向かう和樹を見送って、はぁっと大きく息を吐き出した。
―――こんな関係が続くのはきっとお互いの為に良く無い。
頭ではそうわかっているのに、和樹とのセックスがクセになり始めている自分に気付いてしまい、透は深い溜息を零すと静かに目を閉じた。
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