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変化8
そう言えば、アキラの電話は何だったんだろう? 風呂上り、リビングのソファに座り髪を乾かしながらスマホを開いてぎょっとする。着信履歴に数回奏多から連絡が入っていた。
なんでいきなりアイツから電話? 意味が判らずに着信は無視してメッセージアプリを立ち上げると、アキラからメッセージがいくつか届いている。
「……は? なん、……え?」
まず、目に飛び込んできたのが相川が訴えられたという文字。一体どういう事だろう?
アイツの事は大嫌いだから別に訴えられたって、自分には関係ない事のように思える。だが、アイツの嫁は奏多だ。
嫌な予感がして思わずスクロールする手が止まった。
そこに、
「マッスー、何見てんの?」とひょっこり和樹が顔を覗かせて、透は慌ててスマホを置いた。
「や、何でもない!」
「何でもないわけないじゃん。そんなあからさまに隠してさ……」
和樹の眉間に深い皺が寄る。
「あー、いや、ほんとに大したこと無いから……」
「そう言われると余計気になるんだけど」
「……っ」
じりじりと距離を詰めて来る和樹から逃れようと横にずれるが狭いソファではひじ掛けが邪魔をして逃げ場がない。
「もしかして、彼女?」
「違うわ馬鹿! あのなぁ、彼女いるならお前とこんな事してないって!」
「じゃぁなんで隠すのさ」
「別に隠してる訳じゃなくて……」
言い淀んでいると、不意に腕を掴まれて引き寄せられる。
「わっ」
バランスを崩して倒れ込んだ身体を抱きしめられ、耳元で低く囁かれる。
「ねぇ、誰から?」
「……っ」
吐息が耳にかかり、ぞわぞわした感覚が背中を駆け抜ける。
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