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変化 14
「フハッ、言うねぇ透君」
「……立ち聞きかよ。趣味悪いな……」
曲がり角を曲がった瞬間、壁のように立っていたアキラにぶつかりそうになり透は顔をしかめた。
「まぁまぁ、そんな怒んなよ」
「別に怒ってない」
「そうか? まぁいいけど。それよりさ……あの女、まだお前に未練タラタラみたいだけど?」
含みのある言い方に透は眉根を寄せた。
「……みたいだな。アイツ男が居ないと生きていけないんだろ? まぁ、俺とより戻したって無意味だけどな」
「アイツじゃ勃たねぇから?」
「……ッ、それを強調すんな! アホッ」
「ぶはっ、ウケる」
ケラケラと笑いながら背中をバシバシ叩いてくるアキラの手を振り払う。
コイツは本当に遠慮がないと言うか、デリカシーに欠けるというか……。
でもまぁ、きっとわざと明るく言ってくれているんだろうなと、諦めにも似た境地に達した。
自分が落ち込んでいると空気で察して、元気づけてくれようとしているのだろう。
アキラはそういう奴だ。口は悪くて態度もデカくて、でも誰より人の事を気遣える優しい男。
アキラが友達でよかったと心の底から思う。
素直にそう口にすると照れ臭くなるから、面と向かっては言えないけれど……。
「俺さ……和樹とは一旦、距離を置こうと思ってるんだ」
「……本気で言ってんのか?」
「まぁ……」
歯切れの悪い返事になってしまったがそれは仕方がない。自分の中ではまだ踏ん切りがついていないのだから……。
「距離を置くのは、お前が自分で考えて出した答えだから俺は何も言わないけどさ……。和樹にはなんて説明するんだよ」
「それは……。今から考えようと……」
「大丈夫かよ。グイグイくる和樹に押し切られて、結局卒業まで続いていく関係が目に浮かぶなぁ」
「言うな馬鹿!」
それは透も自覚していた。と言うより、もしかしたら心の何処かでそれを期待しているのかもしれない。
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