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隠された真実2
私、……鷲野君のことが好きなの。だけど、彼には他に好きな人がいるみたいで……」
「……へっ?」
って、そっちかー!
一瞬変な想像をしてしまって、慌てて頭を振る。
危ない。危うく勘違いするところだった。
「それで、どうしたらいいのかなって思って……。私なんかじゃ相手にされないってわかってるんだけど、やっぱり諦められなくて……マッスーなら鷲野君と仲がいいから……その」
「……俺に和樹との仲を取り持って欲しい。……つまりはそう言う事?」
透の問いに彼女はこくりと頷いた。
「…………」
透は言葉を失った。まさか自分の生徒が恋愛相談を持ちかけて来るなんて夢にも思っていなかったからだ。しかも相手があの和樹。
「無理なお願いなのはわかってるんだけど。ごめんねマッスー。迷惑、だよね?」
黙ってしまった透を見て、迷惑だと思ったのだろう。申し訳なさそうに頭を下げる彼女に、透は大きく息を吐いた。
「……いや、ちょっとビックリして……。悪い」
「ううん。そうだよね。ごめんなさい。こんな事言われても困るだけだって分かってたのに」
「うーん……取り敢えずそれとなく聞いてみるけど」
「本当!?」
「ただし、上手くいく保障なんて何処にもないって事は先に言っておくからな」
パッと表情が明るくなった彼女を前にして、透は内心複雑な気持ちになった。
和樹と彼女の仲を取り持つということは、二人が付き合う手伝いをすると言うことだ。
和樹はどう思うだろうか? きっと快くは思ってくれないに違いない。
「ありがとう! マッス―」
嬉しそうに抱き着いてくる彼女を抱き留めながら、透はひっそりと深い溜息を吐いた。
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