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隠された真実5 和樹side 3

「何それ、新手の冗談? だとしたらすげー趣味悪いよマッスー」 「冗談でこんな事言うわけ無いだろ」 「じゃあなんで?」 なんで? どうして?? 聞きたいことは山ほどあるけれど、突然の事過ぎて何から聞いていいのかわからない。 「……もう、俺とは関わりたくないって事?」 「そうじゃない。そういう事ではなくて……」 「だったらなんで?」 「それは……」 透はまた言葉を詰まらせた。一体何を躊躇っているのだろうか? はっきりしない態度に苛立ちだけが募っていく。 「俺は、教師だから……こう言う事はやっぱり良くないと思って」 「そんなの、今更じゃん。何言ってんだよ」 「……それに、お前には俺なんかよりもっといい奴が居るんじゃないかと思ってさ、例えば逢沢とか? 仲いいだろ? お似合いだと思うんだが」 透の言葉に、沸々と怒りが湧き上がるのを感じた。目の前が真っ赤に染まる感覚に拳を握り締める。 ふざけるな。一体なにを言っているのだこの男は。 自分がどれだけ透のことが好きなのか知っている癖に。 透以外の人間なんて考えられないのに。 透以外に興味なんて無いのに。 なのに、透は―― それを一番知っている筈の透が一番信じてくれていない。 それが堪らなく悔しくて悲しくて、胸の奥から熱いものが込み上げてくる。 「……なにそれ。本気で言ってんの?」 抑えきれない感情が言葉になって零れ落ちる。 透は、何も言わずに黙って俯いている。 沈黙が、痛い。 「本気で言ってんのかって聞いてるじゃん!」 ダン!と机を叩きつけると、透は複雑な表情をしながらゆっくりと頷いた。 「……ッ」 嘘だと思いたかった。悪い夢でも見ているのだと、誰かに言って欲しい。 頭が、ガンガンと割れるように痛みだす。 吐き気がする。 視界が歪む。……嫌だ。 こんな事、絶対に認めない。認めたくない。

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