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春3

「え……っ!? はっ!? な、な、なんでお前……」 「ぶはっ、なにハトが豆鉄砲喰らったみたいな顔してるんだよセンセー。ウケるし」 動揺のあまり声が出ず、パクパクと口を開閉させている透を見て、和樹は堪らず噴き出し腹を抱えて笑い出した。 「だって……っ! なんで?  なんで和樹が……?」 何か都合のいい夢でも見ているのだろうか? あまりに突然の事で思考が追い付かず、思わず頬を思いっきりつねる。 痛かった。どうやらこれは現実らしい。 「なんだよ。その反応。俺がいたらおかしい?」 「おかしいって言うか……お前、教師目指してるなんて一言も……」 「あー、増田君。感動の再会は後にして、取り敢えず、一旦落ち着いて席に着こうか」 「――ッ、す、すみません」 少し遅れてやって来た校長達に促されて、慌てて席に着く。 向かいの席に座っている和樹を未だに信じられない気持ちで見ていると、資料から視線を上げた和樹と目が合った。 ドキッと心臓が大きく跳ねて、慌てて教育実習の資料へと視線を戻す。 そこには確かに実習生「鷲野和樹」と名前が記されていて、彼が紛れもなく本物である事を物語っていた。 確かに、高校志望の生徒は実習先が母校になる。自分もそうやって教師になった。 だが、まさか和樹がこの学校に戻って来るなんて思ってもみなかった。 もう二度と会えないと思っていた。あんな酷い関係の終わらせ方をしたのだ。 もしかしたら自分の事を恨んでいるかもしれない。  それだけの事をしてしまった自覚はある。それなのに……。 和樹にこの学校に来る躊躇いは無かったのだろうか? 担当が自分で本当にいいのか。色々な思いが綯交ぜになって不安が大きく膨らんでいく。 だがそれ以上に再会できた喜びの方が大きくて。 胸の奥から込み上げてくる感情を押し殺すようにグッと奥歯を噛み締めて耐えていると、校長から教育実習についての詳しい説明が始まったが正直話の内容は全く耳に入らなかった。

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