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春 6

「俺は何回でも言うよ。マッスーの事が好きだって。ずっと、ずっと好きだったし今だって、愛してる。この気持ちはこの先もずっと変わらない」 「……っ」 「ね、言って? お願い。マッスーの本当の気持ちが知りたいんだ。俺の事、本当はどう思ってた?」 今にも泣きそうな声色が胸に突き刺さる。和樹が求めている。自分の言葉を。 もう自分の中の気持ちは、わかっていた。 隠す必要も、意地を張る必要だってないのに、それを言葉に乗せるのは容易ではない。 「どうって……そりゃ、勿論……す、す……す……」 「何それ、新手の呼吸法か何か?」 「んなわけないだろっ! 俺にだって心の準備ってもんがあるんだよ!」 此処まで言えばもうわかっているだろうに、和樹はどうしても透の口から言わせたいらしい。恥ずかしいやら情けないやらで顔が熱を帯びていくのが自分でもわかった。 「マッスーのタイミングでいいよ。俺、いつまでも待つし。あぁ、でも……学校がしまっちゃう前までには聞きたいかな」  「……っ」 顔を覗き込んで来る瞳は、今まで見たことも無いくらいに真剣で、優しげだった。いつの間にこんな顔が出来るようになったのだろう。 その視線に促されるように震える唇を開く。 「……す、好き……だ……っ」 「うん」 「お前が、……和樹が……好き……だ」 「……やっと、言ってくれた」 和樹の指先が目尻に触れ、溢れ出していた涙を拭う。その手つきは優しくて、とても温かい。 「ほんっと、遅いよマッスー……」 そう言って唇に触れるだけのキスが落とされる。何度も啄まれ、次第に深くなっていく。 舌を絡め取られ、吸い上げられ、呼吸ごと飲み込まれる。 「っ、……ふ……っ」 角度を変えて貪るように繰り返される行為に頭がクラクラする。 「っ、は……ちょっ、待てっ! ここ学校っ!」 机の上に押し倒されそうになり、透は慌てて和樹の肩を押し返した。

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