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新しい生活2
「……お前……昨夜も散々ヤったのに……どうすんだよソレ」
呆れたように呟く透に、和樹はにっこりと笑う。
「これは不可抗力ってことで」
「はぁ!?」
「ね、お願い。一回だけ。これで頑張れるから。ね?」
「ね?じゃねーよ。可愛く言っても無理だからな! 緊張が解けたんなら早く行くぞ」
ぐいっと和樹を押し退けると、玄関に向かう。
「えぇ~ちょっとくらいいいじゃん」
「お前のちょっとは、全然ちょっとじゃないだろ」
ぶぅと不満げに漏らしながらも、和樹は大人しく後に続いた。
ドアを開ければ外は快晴で、澄んだ青空が広がっている。
「……ま、自然体でやればいいさ。お前なら出来る」
晴れやかな空を眺めながら透は言った。
「頑張ったらご褒美くれる?」
「はぁ? たく……お前はまたそう言う……」
何をふざけた事を言っているのかと言おうとして、ハッと口を噤んだ。
和樹の表情はやはり硬い。
なんだかんだ言ってもまだ大学生だ。初めて生徒達を相手に自分で授業を組み立てやっていく。
いくら和樹でも緊張しない筈はなかった。
そう言えば、自分も初めての時はガッチガチだったなぁ。なんて昔に思いを馳せて、透は静かに目を伏せ和樹の腰をポンと叩いた。
「たく……いいよ。実習頑張ったら何でも言う事聞いてやる」
「本当!? じゃぁ、メイド服……」
「アホなお願いは全て拒否権を使わせてもらうからな!」
「えぇ~……」
そんなやり取りをして笑い合う。大丈夫、きっと和樹は上手くいく。
根拠はないが、不思議とそんな予感がしていた。
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