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新しい生活 3

心配していた実習一日目。最初の方こそ生徒も和樹も互いに緊張していた様子だったが、慣れてしまうのは早かった。 元々、コミュニケーション能力の高い男だし、生徒達とは年もそこまで離れているわけでは無い。たった一日足らずで生徒達に溶け込む姿はやはり、流石としか言いようがない。 「凄いな、あいつ」 初日の授業が終わり、職員室で一人感心していると不意に声をかけられた。声の主の方を見るとそこにはアキラが立っていて、視線の先には生徒達と楽し気に談笑している和樹の姿がある。 「まぁ、元々裏表のないヤツだからね」 「やーん、妬いちゃう。とかねぇの? 透君」 ニヤリと笑って茶化してくるアキラに、透は小さく肩をすくめた。 「馬鹿かよ。生徒に妬くわけないだろ。変な事言うな」 「ふぅん? なんだよ、つまんねぇの」 「そんな小さい事気にしてたらキリねぇだろ。それに……」 透はちらっと和樹を見て笑みを浮かべた。 和樹と恋人同士になってわかったことだが、和樹のスキンシップが物凄い。 それはもうベタベタと甘えて来る。人目を憚らずに好きだと言ってくるし、少しでも他の奴と話していれば嫉妬して拗ねる。 休みが重なる部活のない土日なんかは酷いもので、金曜の夜から家にやって来て月曜の朝までベッドから出れない。なんて事もざらにある。 愛されていると実感できるから別に嫌ではないけれど、正直、恥ずかしいし困っているのも事実で……。 妬く必要性を感じないくらいには愛されている。なんてこっぱずかしいセリフは口が裂けても言えないが。 「へー、ラブラブで羨ましいねぇ」 「んなっ! ま、まだ俺は何も言ってないだろうがっ!」 慌てる透に、はいはいと適当に相槌を打つと、アキラはヒラヒラと手を振って去って行った。

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