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新しい生活 5
それから二週間後。
教育実習生としての最後の日。
数回の授業を担当し、色々な行事や部活動を生徒達と共に体験した和樹の表情は明るかった。
元々コミュニケーションお化けな部分がある気さくな性格なので、生徒達ともすぐに打ち解けて今ではすっかり人気者になっている。
そして……最後の〆として与えられたLHRの時間。
「今日は、最後だからみんなの質問に答えられる範囲で答えるよ」
と、和樹が突然切り出した。
「マジで!?」
「やったぁ!」
「じゃぁ、先生は彼女いるんですか?」
「えー! 私もそれ聞きたい」
「えっ……えっと……」
生徒たちの勢いに押され、和樹は戸惑ったように頬を掻いている。
「ていうか、それ定番だよな。俺も学生んとき実習に来た先生達によく聞いてた。好きだよなぁ、みんなその話題。そんなに知りたい?」
悪戯っぽく笑いながら、チラリと教室の後ろでその様子を見学していた透に視線を投げかけた。
最後の授業はみんなの質問に答えていきたい。と、事前に計画書を受け取った時点でその手の質問が来るのはわかっていた。
和樹は一体、どう答えるつもりなのだろうか?
「秘密って事にしちゃだめ?」
「ダメに決まってんじゃん」
クソ生意気な生徒達から不満げな声が上がる。勿論、そういうやり取りも想定内なのだろう。
和樹はもう一度透に視線を寄越し、照れくさそうに笑って言った。
「いるよ。もう、すんげー好きで、世界で一番可愛い人」
「……ッ」
おいおい、自分の何処が可愛いというんだ? と言うか、なんだろう。なんだか公開告白されてるような気分でなんだか落ち着かない。
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