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新しい生活 6
和樹の盛大な惚気に、興味なさげだった生徒達も俄かにざわつき始めた。
「その人のどんな所が好きなの?」
「いつから付き合ってるの?」
「写真見せて」
等々、矢継ぎ早に飛んで来る質問に和樹を上手くはぐらかしつつ答えられる質問に対しては一つ一つ丁寧に答えていく。
そして、最後にこう言った。
「一番はやっぱり笑顔かな。俺の為に笑ってくれる顔が一番大好き。あーでかも、お酒飲んでふにゃふにゃになってる所も好きだなぁ、エロいし。あと、すんげぇ頑固で素直じゃないとことか。そんで、すっげー尊敬してる」
「って、結局全部って事じゃん」
「そうそう! もう、全部好き!」
「……ッ」
なんだよ、それ。なんだか凄く恥ずかしくて居た堪れない、でも、それ以上に嬉しくて、胸の奥がきゅっと締め付けられる。
和樹の言葉を聞いた瞬間、思わず緩みそうになる口元を押さえた。
「ふは、おいおい透。顔、にやけてんぞ」
「う、うるさいっ!」
隣で一緒に授業を覗いていたアキラに指摘されて、慌てて表情を引き締めるがもう遅い。
「あれあれ? 透先生もしかして……」
「ち、違っ! 俺は別に……」
「まだなんも言ってないだろ」
アキラの指摘に、透はぐぅと言葉を詰まらせた。
幸い、生徒達は和樹の方に集中していて誰も透の変化には気付いていない様子だったが、それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。きっと、今の自分は耳まで真っ赤になっているのだろう。
透はコホンと咳払いを一つして、透はコホンと咳払いを一つして、なんとか平静を装うと、漸く違う話題に移った和樹の様子を眩しそうに見つめた。
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